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ショービジネス
第五章
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「だからな」
「三人で山分けかいな」
「それが筋だろ」
「いいさ、ビルの再建は保険やギャングに出させても足りへんやろ」
「それでか」
「ああ、わい等はモンスターの金を三分の一ずつ貰ってな」
「それでええわ、若しお金足りたら」
 その時はとだ、スタインベックも話した。
「いざって時に備えてな」
「置いとけっていうのか」
「また何かあった時に備えてな」
「そうしていいんだな」
「そや、それであんたええ戦いやったが」
 スタインベックは金の話が整ったところで格闘家に尋ねた。
「結局あれだけでか」
「ああ、もうな」
「引退してるからか」
「それでだよ、もう俺はな」
「ジムを経営してか」
「それで格闘を教えてな」
 軍隊や警察にというのだ。
「悠々自適で暮らしていくさ」
「そうか、ほなな」
「機会があったらまた会おうな」
「その時にまたな」
 スタインベックは格闘家に笑って話した、そして後に彼がこれまでの功績で政府に勲章を貰った時にスタインベックとホイットマンは彼と再会し笑顔で抱き合うがそれは後の話である。
 闘技場での死闘を終えた二人はスタインベックが勧めるレストランに入ってだった。
 ボイルドベジタブルに魚のフライ、コーンポタージュに分厚いサーロインステーキにローストビーフにデザートに多くの果物を入れた特大のパフェそしてブランデーを頼んでだった。
 乾杯し飲んで食った、その中でだった。
 スタインベックの手にあるものが宿った、それは巨大で質素だが見事な造りの盾だった。彼はその盾を手に言った。
「これはブリージットの盾や」
「ケルトの女神か」
「戦いもするな」
「その女神の盾か」
「そや、この盾は物凄い防具や」
 心の中に言ってくる言葉をホイットマンに話した。
「わいが最初から持ってるブレスの鎧並にな」
「敵のあらゆる攻撃を防いでくれるか」
「そうした防具や」
「それは何よりやな」
「そして神託を乗り越えて」 
 心の中にさらに言ってくるその言葉を聞きつつだ、彼はさらに言った。
「わいも全体的に強うなった」
「そうなったか」
「一回りな」
 ローストビーフを食い千切りつつの言葉だ、肉の味も焼き加減も実にいい。ソースも見事なものである。
「そうなった」
「それは何よりな」
「ああ、ほなこの料理もブランデーも腹一杯飲んで食って」
「それからやな」
「次の場所に行こうな」
「そやな、デザートのパフェまで食って」
「それでから世界を救う為に行こうな」
 こう言ってだった、スタインベックは今度はブランデーを一口飲んだ。酒に酔っているが目は既に次に行く場所に向けられていた。神託を適えてすぐにその目は見ていたのだった。


ショービジネス   完


      
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