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色を無くしたこの世界で
第二章 十三年の孤独
第41話 戦果報告
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「申し訳ありません」

 そう言い、深々と頭を下げるスキア。
 天馬達が影の世界から姿を消した後、スキアはモノクロ世界に戻ると、自身の主人であるクロトの住む塔へと足を延ばし今回の一件を報告をした。
 黒い玉座の肘掛けに腕を置き頬杖をつくクロトは、一通り報告を聞き終わると今まで閉じていた瞼をゆっくりと開け、「そうか」と静かに呟く。
 その様子はいつもの温厚そうな表情とは裏腹に、何を思っているのか分からない程、冷たく虚無に包まれていた。

「とりあえずご苦労様、スキア。邪魔が入ったとは言え、あの子達の仲間を支配下に置く事が出来た……よくやってくれた」
「ありがとうございます」
「しかし……スキア」

 クロトの言葉に、スキアの肩がピクリと反応した。
 ゆっくりと下げていた頭を上げ、その表情を覗き見る。
 瞬間。その赤い瞳と目が合い、スキアは固まった。

「私は確か……あくまで彼等のフィールドである『サッカー』で勝敗を決めろと言ったはずだ」

 胃の辺りが冷たく凍るような感覚に襲われる。
 冷や汗が頬を伝う。
――らしくない。
 天馬達の前ではあれほど見せていた余裕もこの男の前では全てが無駄になってしまうと、スキアは心で思った。

「確かに、『キミの思い通りにやって良い』と言った私も悪いかも知れない。だが、それを暴力に繋げて良い理由にはならないよね。我等の望みを叶えるに当たって暴力などと言う野蛮行為は不要。……キミも、それは理解していると思っていたんだけど……」
「……はい。申し訳ありませんでした……」

 再度、頭を下げたスキア。
 クロトはそんな彼の様子をしばらく見つめると、玉座から腰を上げ近付いていく。

「頭を上げなさい、スキア」

 そう言われ、頭を上げるスキア。
 目の前に近づいたと言っても自身より高い身長のクロトを、少しばかり見上げるような形になりながら、スキアは口をつぐみ続けた。
 スキアの大きな瞳をしばらく見つめていると、クロトは薄い笑みを浮かべ、スキアの右肩をポンッと軽く叩く。

「分かってくれたなら良いんだ。私も指示の仕方が悪かった。すまないね」
「いえ……とんでもありません」
「相変わらず真面目だね。疲れただろう、もう部屋に戻って休みなさい」

 そう微笑むと、クロトはスキアの横を通り過ぎ、巨大な窓から外の様子を眺め始める。
 その姿をスキアは一瞥すると、一つ頭を下げ静かに部屋を出ていった。

 黒の塔、廊下。
 クロトのいた部屋から出ていったスキアは、下階にある自室への通路を歩いていた。
 名前の通り黒で統一された塔の内部は、壁にかけられたランプの灯りで灰色に光っており、どことなく不気味な印象を醸し出している。
 カンカンカンカン……
 右手に持った
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