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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
標的は──?
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》で登校しようと、下校時に奇襲すればいいわけだ。俺は、下校時は徒歩で帰ることが多いからね。バスで登校するならば、先日の時みたくルノーにUZIでも載せればいい。そちらの方が武偵殺しらしいかな。自転車で登校するとなれば、それもまた、今回のように奇襲が掛けられる」


バスジャックの犯行がいちばん無差別的な武偵殺しらしい、とは言えど──それが自分とキンジを狙う理由にはなりはしないのだ。そもそも武偵殺しの標的は、自分たちではない(・・・・)
そんな意図を言葉の裡面に潜ませながら、これらを総合して俯瞰するべく二の句を次いだ。


「しかし、どうであれ──武偵校まで《境界》で行くのか、バスで行くのか、自転車で行くのか。それらを把握するには、何かしらの工作を行わなければ不可能だよね。盗聴、ハッキングといった類がもっとも分かりやすいかな。……生憎、今はそれらの有無は分からないけど、仮定の1つとしてのキーワードを作り出せること、そこから実行犯を探し出せることには変わりないだろうね。重要なのは、武偵殺しの狙いだよ。この話の本質は、そこにあるの」
「……武偵殺しの、狙い? だってさっき、犯行は無差別の可能性もあるって言ったじゃない」
「うん、確かに言ったよ。ただ、武偵殺しが恣意的に2人を狙ったのか、或いは無差別に狙ったのか、どちらにせよ、武偵殺しの意を解することは出来る」


武偵殺しが動機の仮面に無差別という名を着けて、様々な武偵を狙ってはいるのは、恐らくは本質である彼女(・・)を狙うことを悟られないようにするためだろう。武偵殺しの標的は、武偵殺しそのものにとって撒き餌の餌でしかない。彼女(・・)を誘き出すための、餌でしか。


「これだけは分かっておいて。狙いは……アリアでしょうね」
「……えっ。アタシ?」


人差し指で自分自身を指さしながら、アリアは呆然とも唖然ともとれる表情を見せた。それもそうだろう。敵を追い続けているはずの自分が、まさか敵の撒き餌に食い付いて、その敵の残した幻影を追い続けているとは夢にも思うまい。だからこそ、今までが危険だったのだ。


「いちばん初めに武偵殺しが動いたのが……いつだったかな。まぁ、代表例としても──数ヶ月前の、アンベリール号だろうね。覚えてる? メディアにも大々的に報道されたやつだよ」


2008年12月、豪華客船アンベリール号が沈没したという報道が地上波を駆け巡った。沈没の原因は不明であり、救出された一部の乗客によって爆発があったことが、その後に明らかとなったとはいえ、それが人為的に起こされたものか、或いは船体そのものの異変によって引き起こされたかものなのかまでは、とうとう誰も分からなかったらしい。このアンベリール号沈没事件は、とある一人の武偵を除いては乗船していた全員が
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