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雲は遠くて
151章 米津玄師の、子どもの頃の自分に向けての手紙
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 竜太郎がそう言った。みんなも「そうよね」「そうだ、そうだ」とか言った。

「そんな子どもの心をオトナになると忘れたりするから、おかしな世の中になっ
ていくんだよね」

 松下陽斗(はると)がそう言って、彼女の清原美樹と目を合わせる。

「愛を感じられなくなったりするんでしょうね。感受性も衰退すると、
子どものころの瑞々(みずみず)しい感じやすい心も無くなってしまったりね」

 落合裕子はそう言った。

「そうですよね、裕子さん。愛って、それを感じるセンサーそのものが弱って働
かないと、
愛って、感じ取れないものだと思うんです」

 青木心菜(ここな)がそう言った。

 女性バーテンダーの沢井悠花(ゆうか)は、手際てぎわも良くシェーカーを振
い、
ジンがベースのいま人気のネグローニを作って、
カウンターの席でくつろぐ、大沢詩織と信也の姉妹の美結と利奈に差し出し
た。

 笑顔もかわいい24歳の女性バーテンダーの沢井悠花は、白の開襟ブラウ
ス、
黒のベスト風エプロンもよく似合う。

「美結さん、利奈ちゃんとは、すっかり、お酒を楽しむ仲間になっちゃいましたよ
ね!」

 そう言って笑顔で、詩織は両隣に(すわ)る美結と利奈とグラスを合わせ
る。

1997年3月21日生まれ、22歳の川口利奈は、今年、管理栄養学科を卒業
して、
兄の信也の会社の外食産業大手のモリカワ本社に就職したばかりだ。

 川口美結は1993年4月16日生まれ、26歳。信也の飲み仲間の新井竜太
郎が副社長の、
外食産業最大手・タナールの傘下の芸能事務所・クリエーションで、
タレントや女優やミュージシャンの仕事をしている。

 大沢詩織は1994年6月3日生まれ、24歳。詩織は、モリカワで仕事をして
いる。

「ねえ、詩織ちゃん、うちのお兄ちゃんがね、あそこで、落合裕子さんと青木心
(ここな)さんと、
楽しそうに話しているけれど、詩織ちゃんはいつも平気んあんだもん。
心が広いなあって、いつも感心しちゃうのよね、わたし・・・」

 微笑みながら美結は、詩織にそう言った。

「初めのころは、ちょっと嫉妬(しっと)することもあったんです。あっはは。
だけど、それじゃ、お互いに、うまくいかないことがすぐにわかったから・・・。
しんちゃんも、わたしも、自由を尊重する芸術的な生き方を大切にしているから。
クリエイティブな創造的なことをしたいと思ったら、既成的な価値観とかからも
自由でないとダメだったりするでしょう。そんな自由や、
自然な形で続けられるお互いの愛とかが大切だと思っているんです。
お互いを、嫉妬とかで(しば)りあったりしても、愛は続かないとわかっている
んです。

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