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人理を守れ、エミヤさん!
アウトロー・オブ・アウトロー
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から。ロビンとビリーは、そんなこんなでこの名もなき村に居ついている。

 村人達には言っていた、訴えていた。
 ここに居座っていたらいつかは皆殺しにされてしまうと。座して死を待つぐらいなら、新天地を目指して旅立つ方が希望があると。しかし村人達は頑として村を捨てなかった。
 彼らは知っていた。どこに行ってもあるのは地獄。悪鬼羅刹の如き戦士達が、生けとし生ける者を鏖殺しているのだ。どのみち死ぬと分かってる、なら最期はせめて、住み慣れた村で死にたい。それが彼らの意思だった。

「――気持ちは分かるんですけどねぇ……」

 ロビンはやるせなさを溜め息に乗せて捨てる。

「どうしてこう、最後の瞬間まで生き残ってやろうって思えないんだか」
「強い人間ばかりじゃないって事だね」
「んなこたぁ知ってんですよ。嫌になるほどね」

 それでも思うのだ。死ぬ事を前提に生きてほしくないと。
 ロビンとビリーがいるからこの村はなんとか無事でいられたが、近隣はとっくの昔に全滅している。にも拘らず村人達に悲壮感はない。それは、彼らはもう諦めてしまっているから。ロビンやビリーという明らかに人間を越えた存在が居ても。
 だってその二人が言っている、護りきれないと。護りきれないという事は、外に出ても同じという事ではないか。

「――ああ、ほんっと嫌になるぜ」

 不意にロビンは顔を顰めた。遠くで落石音が聞こえたのだ。
 ビリーは拳銃を取り出し、弾丸を込める。深々と嘆息して、苦笑いの表情でロビンに言った。

「やぁ、トラップ仕掛け終わってすぐ来るなんて、なかなか律儀な連中だと思わない?」
「勘弁してくれよ……二日もかけたオレのトラップ、一夜と経たずにおじゃんになんの? オレの勤労意欲は穴ぼこですよ?」
「それでも働かなきゃ、だね。君の罠を越えてきた連中を僕は撃ちまくる、君は影からちまちま弓を射つ、いつも通りさ」
「――それも今回限りだけどな。何せもうトラップに使えるもんがない。次からは大軍相手に真っ向勝負になっちまうぜ」

 その時はその時さと、飄々とビリーは笑う。いつも通りの少年悪漢王、されども瞳の奥にある暗鬱な光は隠せていない。
 どうする? と相棒の義賊に小さく訊ねる。今回はいい、しかし次は絶対護れない。その時に自分達はどうするのかと彼は訊いているのだ。
 表面上は軽薄に。軽妙に。あくまで合理的に緑衣の弓兵は言う。

「そん時は見捨てるしかないだろ。人理を守るためにオレ達は召喚されてるんだ。小さな村一つのために、その使命を捨てるわけにはいかねぇよ」
「……」
「なに、出来る限りの事はしてやったさ。これ以上骨を折って草臥れる必要はねぇ」

 完璧にその内面を隠しきったロビンに、ビリーは掛ける言葉を持たない。
 少年悪漢
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