暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
希望の欠片だジャックさん!
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逆風続きの状況で、更に苦境に追い込まれても踏ん張れない。
 俺だけならいい。その時は逃げるだけだ。逃げて、勝算を立て、改めて勝つだけでいい。そのなんと簡単な事か。今に比べたら――守るべき者のいない時の、なんて気楽な事か。

 沖田は神妙に頷く。そして、意を決したように問い掛けてきた。強い意思を感じる。

「マスター。いざとなったら、私はマスターを何よりも優先します。カーターさんやエドワルドさん達には悪いですが、私にとって一番大切なのはマスターなんです。……まさか彼らが死ぬ時も殉じて死ぬ気でなんていませんよね?」
「……当たり前だ。仲良く心中する気はない」
「本当ですね?」
「ああ」
「……嘘でもいいです。その時は、マスターを気絶させてでも連れて逃げますから」
「……」

 本当のところ、俺は彼らが全滅を避けられなくなった時にどうするのか、自分でも分からなかった。頭では分かっている。逃げるのが一番だ。しかし……。
 頭を振る。合理的に、その時は動くしかない。動くしか、ない。大事の前の小事と割り切るしかなく、もし俺が死ぬ事でこの時代の滅びを食い止められなかったら、それこそ彼らは犬死にになってしまうから。
 沖田の決意表明に偽りはなかった。それが正しいと認めている。だから、頼んだ。俺の中の青い部分が、変に逆らわないように。

「……その時は頼む。正直に言うが、冷静に判断できる自信はない」
「分かってます。マスターは、そういう人です。だから皆がマスターを信じられてる。どうかそのままの貴方でいてください」

 歩き出す。いや、走る。のんびりと歩いていられる余裕はない。長く走れるペースで探索に向かった。
 そうしていると、またも森を見つけて。流石に俺は訝しげに眉根を寄せた。
 妙だなと呟く。俺はアメリカ全土の地図を記憶している訳ではないが、それでも地形の移ろいに関しては多少知識がある。
 砂漠があり、河があり、森がある。山脈、林など。どれも唐突に変化する事はなく、ほぼ地形と気候は連動して形成されるものだ。そうポンポンと荒野や森が繋がっているわけもない。
 思い返せば、ペンテシレイアをはじめて見つけた時もそうだ。不自然な形で渓谷があった。

 この特異点は時間の流れがおかしい……推測するに、各地の地形は今と昔の地形が入り交じっているのか?
 そうだとすると、いよいよ人理定礎値が深刻だ。時間が狂っている……俺をカルデアから引き離して、寿命で殺すのではなく、別の狙いもあったりするのだろうか?

「……お春」
「はい。っていうか今まで何度か流してましたけど、そのお春っていうの、なんかかわいい響きで照れちゃいますね」

 ふにゃりとした笑みで沖田が応じる。顔色はいいが俺は呆れてしまった。

「そんな事を言ってる場合
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