暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
人理を守れ、ジャックさん!
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
連れて行こう、だが代わりが見つかれば捨て駒が妥当だ。ただでさえ少ない令呪、回復の見込みはない。血を吐く度に使わされればキリがないだろう。何、床に伏せて死ぬよりも、本人も満足な死に様だろうさ。

 誰だ、と思う。誰がそんな事を言っている。怒号を発そうとして、それが己の冷徹な部分から出た合理的な計算だと気づいた。
 絶句する。そんな発想は有り得てはならない。瞬時に封じ込めた。押し潰した。揉み消した。
 実に合理的でそれが最も正しいと俺自身が認めている。だが頭にこびりつくような方針を踏み潰した。それは俺の道ではない。堕ちてはならない魔道だ。俺は俺の決めた王道を往く。

 ちら、と後ろをついてくる兵士達を一瞥する。
 あの血戦の後であっても、その目は爛々とした光を発している。一皮剥けた。懸命に戦い、まだ生きようとしていた。彼らに九十三の命が乗っている。俺にもだ。見捨てる訳にはいかない。
 冷徹さは必要だ、しかし冷血であってはならない。それでは必ず何処かで破綻する。俺は俺だ、と思う。名前を亡くしたとしても。何かの記憶が欠けていたとしても。五感はしっかりしている、魔術回路も思考も自我も。大事なのは名前ではない、どう生きて、どう在るかだ。

「ぅ……」

 沖田が目を覚ます。俺は出来る限り柔和に声をかけた。

「おはよう」
「ぁ……ますたー……?」

 寝惚けているのか、滑舌が悪く声が幼く聞こえた。それに苦笑する。
 彼女にとても似た顔立ちで、彼女が見せないだろう表情をする沖田が可笑しくて――《彼女?》

 ぞわり、と背筋に悪寒が走る。

 《彼女の名はなんだ?》 発作的に記憶を辿る――はじめて出会った月下の時――その後の戦い、鮮烈な記憶――

「ア、」

 冷や汗が滲んだ。焦る。思い出せ、順番に。冬木の人達は? 藤姉、桜、イリヤ、遠坂……他の人は……名前は分かる、しかし顔の輪郭がぼやけていた。
 以降の出会いはどうだ? ガトー、キアラ、白野、バゼット、エンハウンス、シエル、遠野、ブリュンスタッド、蒼崎、両儀、黒桐……。その他にも様々な人がいた。全て覚えている。顔も姿も声も思い出も。

「ア、ア――ル、」

 カルデア。そこでの戦いの記録。ロマニ、マシュ、クー・フーリン、レオナルド、切嗣、エミヤ、ネロ、アタランテ、アイリスフィール、チビの桜、別世界のイリヤ、美遊、糞忌々しいステッキ。アグラヴェインに百貌のハサン、カルデアのスタッフ。

 ……? 誰だ、他にキャスターがいたような……。そう、玉藻の前だ。命の恩人だ。他には、他には……。
 アーサー王伝説……の、ああ、騎士王だ! 聖剣の鞘の持ち主。黒い方はオ――ルタ? オルタだ。そう、オルタ。
 あ、ああ! 思い出したッ!

「アルトリア」

 繋ぎ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ