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人理を守れ、エミヤさん!
沖田さんと士郎くん!
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けでその筋の人に見えるほど、人相が悪いのだろうか? 俺は。

「えいえいっ。怒りました?」
「怒ってないよ」

 突然背中にぽすぽす拳を当ててくる沖田。

「えいえいっ。怒りました?」
「怒った。ぶちコロがすぞ小娘……」
「ひぃ!? って、あははは! いやぁなんか話しやすそうなマスターで安心しました」

 なんてコントをしてると、沖田はおちゃらけて笑った。なんというか、子供っぽい。子供と仲が良かったという話は本当なのかもしれない。
 寧ろアルトリアもそうだが、こんな明らかに女の子女の子してる沖田を、どうして彼女の身の回りの野郎連中は男扱いしたのだろうか。
 アルトリアは分かる。マーリンがいたから誤魔化していられたのだろう。しかし沖田は……いやまあ、沖田の身長は、彼女の生きた時代では男の中でも長身の部類だったから、大女とか言われたりして女扱いされなかったのかもしれない。当人に女の自覚もなさそうだ。いや、己と周りの性差についての意識が薄い、と言った方が近いか。
 なんであれ、俺からしたらちんまい小娘といった印象である。こんな無防備だと、現代日本にいたら高校辺りまでは無事でも、大学でパクッと悪い男に食べられてしまいそうである。
 総評すると、戦闘はまだ見ていないが、それ以外はまるで駄目な奴、といった印象になる。一周回って可愛らしくすら感じなくもない。というか切実な問題として、軍事行動の基本中の基本である行軍に耐えられない体力だけは本当になんとかならないのか。はぁ、はぁ、と息切れが深刻になりつつある沖田に、本日四度目の溜め息を溢す。

「おい」
「は、はい……?」
「これ、背負え」

 俺は自分で背負っていた戦闘背嚢を沖田の方に押し付ける。沖田は疲労の汗に冷や汗を混ぜた。

「えぇ……? 鬼畜ですか……こんな疲れきってる私に、荷物を背負わせようだなんて……」
「四の五の言うんじゃない。いいか、動くなよ。抵抗もするな」

 ぶつくさと文句を垂れる沖田に戦闘背嚢を背負わせ、無理矢理背負う。すると沖田はわたわたと手足をばたつかせて慌て始めた。

「ま、マスター!? ちょちょ、ちょっとー! どこ触ってんですか!?」
「うるさい。何時何処で敵と遭遇するかも分からないってのに、肝心要の戦力が疲れきっているとか笑い話にもならないんだぞ」
「うっ」
「それと勘違いするな。俺はお前の為に背負うんじゃない。俺が死にたくないから背負うんだ」

 ツンデレ……? と呟く沖田に俺は笑った。なんでこう、コイツは俺のネタじみた台詞に理解があるんだ。エドワードの奴もそうだったが、英霊の座でそういう知識が手に入るのか? 英霊の座というのはどうなってるのか興味は尽きない。
 おずおずと首に腕を回してくる沖田である。素直に甘える事にした
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