暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
沖田さんと士郎くん!
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のでそのまま手拭いを押し付ける。唇を尖らせて不満そうにしながら、沖田は指と口を拭いた。
 干物を作るのに時間は掛けたくないので、同じ魔剣を投影し火力を増す。魚の干物を作る傍らでテントの部品を投影して組み立てはじめる。今日はここで夜営するつもりだった。
 便利ですね、マスターの能力……と、沖田が感心しているのか呆れているのか分からない声音で言ってくる。確かに便利だ。剣以外の投影だと魔力は倍以上掛かるのも珍しくはないが、宝具でないなら余り負担はない。精密機械でも、俺自身がパーツを全て把握していたら、そのパーツを投影して組み立てるのも可能だった。破損聖杯というタンクもあるし、魔力の心配も殆どない。
 まあ、五%の容量の内、一%は沖田への供給に常に回さねばならないのだが。何せカルデアとの繋がりがない状態でサーヴァントを召喚して、契約しているのだ。破損聖杯が無ければ喚ぶ事は出来ず、そもそもサーヴァントを維持する事すら不可能だったろう。俺の魔力量なんてそんなもので、独力で可能なのは最低でも遠坂凛クラスの魔力がなければ厳しい。

 後少しで日が沈む。――その時、不意に沖田の目が鋭くなった。

「――マスター」
「どうした」

 自然体で応じる。沖田は言った。

「殺気です」
「……夜営は出来ないな。放っておけ、どうせ偵察だ。引き返すだろう」
「いいんですか?」

 なんなら斬ってきますが、と。先ほどまでのおちゃらけた様子は微塵もなく、冷徹な眼差しで訊ねてくる沖田に答える。

「構わない。偵察が帰ってこなければ、どうせ有事ありと判断される。斬っても斬らなくても同じだ。無駄な手間は省略するに限る」
「ではどうします?」
「逃げてもいいが、先に捕捉されてしまったからな。――沖田、偵察しに来た奴を追え。ただし戦闘は禁止する。敵本隊の位置を掴んだら戻って来い。然る後、こちらから先制攻撃し撹乱してからトンズラだ」
「承知」

 沖田の気配が消える。
 それを感じながら、保存食としたそれを戦闘背嚢に詰め込む。
 一抹の不安があったが、沖田は戦闘の事となると一切の遊びがなくなる性質らしい。それには素直に安心した。

 令呪を見る。三画のそれ。カルデアのシステムとは関係がないから、使い捨てで補充はされないだろう。使い時は、慎重に見極めねばならない。







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