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ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第94話:Death Σ
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持っていた方がいい。形見として持っていてくれないか?」

「うん…ごめん…少し1人にさせて…」

「分かった…」

ルインは奥へと引っ込み、エックスは操縦席に座って息を吐き、少しして奥からルインの押し殺したような泣き声が聞こえてきた。

エックスもゼロも悲しげにデスフラワーのあった方を見遣った。

心が…感情がイレギュラーと見做される行為に走る切っ掛けとなった今回の事件。

ならば心を持ちより人間に近い思考回路を持つレプリロイドとはイレギュラーと同義なのではないか。

エックスの心中をそんな不安が過ぎっていく。

「なあ、ゼロ…」

「…どうした?」

不意に声を掛けられて、やや驚いた様にゼロがエックスに目を向ける。

「もし…俺がイレギュラー化したら、君が処理してくれ」

エックスの言葉に驚愕するように目を見開いたゼロだが、その問い掛けには答えようともせずに憮然としたまま前方に目を向けた。

今のゼロにとっては残酷な願いだとはエックスにも自覚がある。

だがそれ以上に自身がイレギュラー化した場合の事を思うと、そう願わずにはいられない。

「約束だよ…ゼロ…」

ゼロに向かって言い放つエックス。

これをゼロが受け入れてくれるかどうかは分からないが、エックスとしてはこの約束だけは何が何でも譲れはしない。

何かの間違いで自分が暴走してしまったら、それを止められるのも…また止めて欲しいのもゼロ以外にありはしないのだ。

…戦いは終わった。

しかし、エックスの心を例えようのない不安がよぎる。

“イレギュラー”とは、一体何なのか?

…もしかしたら、自分自身もイレギュラーとなってしまうのか?

そしてゼロも蘇りつつある過去の記憶が自身の心に迷いを生じさせる。

…イレギュラーを許せないハンターとしての自分……。

“あいつ”を倒す定めを負った、本当の自分…。

そしてルインは部下の…そして自分を愛してくれた男を思いながら涙を流した…。

彼を救えなかった自身に憤りながら、サーベルを見つめた。

愛ゆえにイレギュラーとなった彼。

感情があるからイレギュラーとなることを本当の意味で気付かされたルインも自分がイレギュラーとなり、エックスや仲間を傷つけてしまうのではないかと恐怖を抱き始めた。

不吉な予感は現実となり、3人のハンターを運命の戦いへと導く。

そう遠くない未来で…。
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