悪意の牙、最悪の謀 (後)
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魔槍は剣ではない、故に投影に当たり魔力消費量は二倍掛かる。カルデアとの繋がりが途絶えたのを彼は感じていた。後はもう、己の魔力とアラヤ識に齎された魔力の備蓄のみで戦うしかない。士郎は備蓄を使用するのを躊躇わなかった。
黒王の元には三本の選定の剣カリバーンが投影される。オルタはそれを背負い、魔力で形成されている甲冑に固定した。漆黒の聖剣に渾身の呪力を装填する。
士郎が何を感じたのかは知らない。カルデアとの繋がりが絶たれている事を知らない。だが彼が短期決戦でなければならないと断ずるには相応の訳があると瞬時に了解した光の御子と黒王は、一切の出し惜しみを無くして即座に決着をつける事を覚悟した。
対し、アルケイデスは悠然と構える。だが彼の大英雄は、士郎らの意思に応じて短期決戦をよしとした。それは武人の心意気か、英雄としての誇りか、或いは――未だに完全に操られていない、大英雄の桁外れの精神力故か。
「全兵装使用自由だ! 支援は俺に任せろ、往けッ!」
鉄心が吼える。弾かれたように二騎の大英霊が疾走する。先頭を駆けるは波濤の獣の外骨格を纏う凶悪な大英霊。
規格外の膂力、敏捷、耐久を備え今のアルケイデスにも追随する能力を持つ。やはりお前こそが我が最大の敵か、とアルケイデスが嗤った。迎え撃たんと巨槍を構える、その眼前に迫ったクー・フーリンは唐突に跳躍した。
「『卑王鉄槌』!」
クー・フーリンの背後より迫っていた呪力の風弾が、光の御子が跳躍したことでアルケイデスへと迫る。彼は最果ての槍に極光を瞬間的に装填し放った。オルタ渾身の一撃を溜めも無しに相殺し、気流が爆発し爆風が轟く。地面が大きく陥没し飛来してきた無数の剣を吹き飛ばした。
士郎はそれを視るなり剣弾は無用と見切り、自身の脳裏に設計図を敷く。――投影、重装――自身の限界を遥かに超える投影魔術に魔術回路が悲鳴を上げるのも無視し、虚空にある無数の歯車が火花を散らして高速で廻り始める。
「オラァァアアッッッ!!」
頭上より全力で魔槍を振り下ろすクー・フーリンを、アルケイデスは磐石なる武技で迎え撃つ。隕石の墜落にも比する大力に、振るわれた魔槍と巨槍が激突し空間が軋んだ。その衝撃を互いに逃しアルケイデスの背後に着地したクー・フーリンが神速の魔槍術を縦横無尽に振るう。しかしアルケイデスは、自らの筋肉に覆われた腕を犠牲にして魔槍の穂先を受け止めた。自らの腕が破壊されるのにも構わず、振り向き様に復讐者は最果ての槍を彼の足下に突き込む。
大英雄の心眼は、幾度も交戦したクー・フーリンの次手を見切っていた。軽く跳んで躱した彼の足下で最果ての槍の燐光が小規模な爆発を起こした。クー・フーリンの体勢が微か
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