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人理を守れ、エミヤさん!
鉄の心の士郎くん!
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敵する紅色の楯。それは七枚の守り、完全なそれ。投擲物には無類の効果を発揮する。
 無論、剣技による『射殺す百頭』へその全能を発揮する事は能わない。そんな事は百も承知。あの黒き聖剣の究極斬撃を殆ど相殺してのけた威力は視ている。――そして、その技の起こりとなる予備動作も。

 故に成すは防壁による防禦ではない。魔大剣を振るわんとする復讐者の動作の起こりに合わせ、展開した七枚の花弁を押し付ける(・・・・・)。アルケイデスは舌打ちして半歩下がり、紅色の楯を魔力消費のない奥義を以て破壊する。
 それはアイアスの楯を破壊して尚も破壊力を残し、エミヤシロウに深傷を与えた。

「グッ、」

 右肩から左腰にかけて袈裟に切り裂かれ、錬鉄の騎士は苦悶する。一直線に詰め寄ったアルケイデスの拳が彼を殴り飛ばし、赤い外套の弓兵は藻屑の如くに吹き飛んだ。
 半歩の間。宝石に勝る至玉の時。アルケイデスは忌々しさを圧し殺し接敵する。最後に立ちはだかるはカルデアの楯。迫り来る真紅の復讐者の圧力に怯みながらも、少女は怯懦に固まらずに裂帛の気を吐いた。

「行かせません――ッ! 私は、先輩を護る!」
「やれるのか、私を相手に」
「やって――見せます!」

 十字の大楯は聖なる護り。復讐者は呵責なき猛攻に打って出る。
 一歩も退かぬと唇を噛み締め、アルケイデスの剣撃を凌ぐ。刺突、斬撃、打撃、瞬間的に楯を打ち据えられる二十七の暴威。アルケイデスは賞賛する。

「見事。我が最強を以て、貴様の矜持を打ち砕こう」

 賛辞は本物だった。無垢なる少女の清らかなる誓いを、復讐者は嘲る事なく認める。
 認めたが故に魔大剣の力を発露させるのだ。吹き荒ぶ殺意の颶風が気弱な心を殺さんとする。

「っ。――護る、私がぁ! 先輩を! 護る! 例え誰が相手でも――絶対に負けない!」
「『射殺す百頭(ナイン・ライブズ・マルミアドワーズ)』」
「顕現せよ! 『いまは遥か理想の城(ロォォドッ・キャメロット)』ォォオオ!!」

 開帳される殲滅の嵐。耐えきって見せると吼える心の護り。その心に一点の曇りなし、故にその尊さは復讐者を驚嘆させ――その隙を狙い撃つからこその暗殺者。

「宝具解放。『時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)』」

 神速へ至る加速のそれ。銃器、ナイフは効かないのは把握している。故にこそ暗殺者はたった一つの最悪の手段に訴えた。
 聖なる楯に阻まれた復讐者の背後を取る。そしてその太い首に腕を回して圧迫した。意識を瞬間的に落としに掛かったのだ。だが――復讐者は微塵も動揺しない。余りに非力、暗殺者の腕を掴むや手首を破壊し、躰を捻って前方の少女の楯に叩きつけ、その胴へ魔大剣の切っ先を埋め込む。
 暗殺者に成す術はなかった。徒手空拳の業すらも最
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