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人理を守れ、エミヤさん!
鉄の心の士郎くん!
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限りではない。ならばその挙動の悉くを妨害するのみ。狩人の冷静な一矢は――数多の理不尽を超越した復讐者に通じなかった。

 元より迎撃の挙動は皆無だったのだ。ただ魔大剣の柄を握る手とは反対の手へと『或る物』を現して、口に含んだのみ。アタランテは優れた視力でそれを視認していた。

「いけないッ――!」

 魔槍が飛翔する。それは過たず着弾し、確実にアルケイデスの霊核を破壊してのけた。外道を討ち取ったという確信が、着地したクー・フーリンの動きを止め。――アタランテの叫びにまさかと思った。
 魔槍が心臓を穿つのと同時に、彼は口に含んだ『黄金の果実』を噛み砕いていた。それは黄金の林檎。神々の求めた不死を得られる秘宝である。流石に宝具、そこまでの権能は得られないが、命を与えるという機能のみは残っていた。

 第十一の試練にて獲得した『ヘスベリエスの果実』は、魔槍で即死したアルケイデスを即座に復活させる。
 元より人間の忍耐、その究極の精神を持つアルケイデスが、死んで蘇生した直後だからと脚を止める脆弱さを見せるはずもない。死の実感を息をするように捩じ伏せ、アルケイデスは加速した。

「なんだとッ」

 絶句する三騎の大英雄。されど遅滞は刹那、即座に追い縋るも――さしものクー・フーリンですら追い付くには刹那の間が遠かった。
 魔槍に破壊された心臓は治癒できない……その呪詛は魔術界の理、より大きな神秘によって打ち消されていた。

 アルケイデスが魔大剣に魔力を充填する。立ちはだかったのは赤い弓兵。
 錬鉄の騎士は弓を消し、しかし双剣を投影する事もない。近づかれれば切り結ぶ事すら不可能だと弁えていた。故に彼は復讐者にとっての最悪、カルデアにとっての最善を選択する。

「――貴様なら、確実に此処まで来ると解っていたぞ」
「久しいな、アーチャー。貴様と技を競うのも悪くはないが、今は邪魔だ。失せよ、『射殺す百頭(ナイン・ライブズ)』」
「本来の大英雄には有り得ぬ不遜、油断だぞ」

 魔大剣の真名を含めぬ、ただの斬撃の猛威。それはアーチャーを即死させ骸を四散させるだけの力があった。
 無論アルケイデスに油断はない。これが最速の道だからこその選択だ。光の御子と騎士王らに追い付かれるのは面白くない、故に最小の力で最短の道を駆けようとしたのだ。

 だが弓兵はアルケイデスも認める戦上手。彼の失点は、エミヤシロウに己を止める力はないと見切った事――確かにそうだ。それは事実である。間違いではない。
 しかし元よりエミヤシロウは『戦う者』ではなく……彼の本質は『造る者』だ。己の力で足りぬなら、最悪の復讐者を止められるだけの物を造るまで。

「『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』……!」

 顕現するは一枚の花弁すら古の城壁に匹
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