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徒然草
166部分:百六十六.人間の

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百六十六.人間の

                   百六十六.人間の
 世間の人々の営みというものを見てみますとある晴れた春の日に雪だるまを作ってその上に金銀パールで飾ってそのうえで安置する堂を建てるようなものであります。堂の完成を待ってそれから無事にその中に安置できるものでありましょうか。今生きていると思っていましてもそれは足下から溶ける雪の如きものであります。それでも人はその努力が報われることを期待しているようであります。
 そうした実に儚いものであることをわかっている人がいるかどうかといいますとこれが少ないのです。あまりいません。その儚さをわかっていればそれだけでかなり違うものでありますがそれをわかっていないということは悲しいことです。そして寂しいことであります。わかっていないからこそそうしたことをするのであります。世の中のありとあらゆることは儚いものであります。そうして何もかもが消えていきます。何もわかっていないその人が営むものは何もかもが儚いものであります。無常であるということがわかっていない、そのこと自体が非常に寂しく悲しいことであります。儚い世の中、そして営み。それをよくわかったうえで生きていくべきなのですがそれができないのであります。わかっていないからこそであります。全てはそれに尽きるのであります。


人間の   完


               2009・10・27

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