五年後 消えた英雄に焦がれる少女と一人の冒険者
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にこう質問した。
「では優秀なリール・イスファール准尉に再度聞こう。この作戦での成功要因とは何か。自身の意見で述べてみてくれ」
「えっ……あ。は、はい! ……成功要因とは簡潔に言えば、先ず地理的に此方が熟知していたこと。二倍という戦力差が出たため敵が油断していたこと。そして、その油断を見抜き、当時では革新的な戦法を立案したエマ・エルレガーデン大将の存在。……何より、撤退戦で敵方に大きな被害を与え、且つ自らを犠牲にすることにより味方の被害を抑え、エデル・バデレイク大尉の存在でしょうか。それらの条件が重なったことにより、作戦成功に繋がったのだと思います」
「ふむ……まあ及第点だな」
「はい、ありがとうございました」
そこでチャイムが鳴り響く。
「本日の講義を終了する」
教官は教科書を持ち、教室を出ていくと、喧騒が広がり始めたのだった。
= = = = = =
「リールっ! さっきはお疲れ様!」
教科書を纏めていると、後ろから陽気な調子で話しかけられた。
「あ、イーリス」
振り返ると、黒い長髪に、藍色の瞳をした少女が後ろの机に手を掛けながら座っていた。
「あんな質問、よく答えられたよね。私だったらオドオドして答えられなかったよー」
「いえ、『レチアド山の戦い』は結構最近のものなので、図書館に行けば緻密に記録されている本が沢山あるので、読んでいればあれぐらいの説明は出来ますよ。……といってますけど、内心結構焦ってました」
苦笑したリールに、イーリスは頬を緩めた。
「あはは! 確かに、最後の成功要因を述べよって言われた時、ちょっと素が出てたもんねっ」
無邪気に笑う友人に、苦笑からひきつらせた笑みになったリールは素直に返答した。
「はい……あれは、なんといいますか、不可抗力と言いますか……」
「流石にあれだけで減点なんて無いとは思うけどねー。まあ、しょうがないよ! 説明が終わったと思ったらまた質問が来るんだもん。逆に素が出ないと可笑しいって!」
「ありがとうございます。イーリス」
掘り返したり、励ましてきたりと騒がしいが、リールはイーリスなりの心配のかけ方を熟知しているので、そんな騒がしさも、実際は温かく感じている。
「──リール、イーリス」
そんな会話をしていると、後ろから爽やかな男声が二人の名を呼んだ。
同時に振り向くと、そこには他の男子も着ている筈の制服を、これでもかというほどに着こなす、金の短髪と紺の瞳をした、端麗な青年が微笑んで立っている。
「……ん? ハルトじゃん。どうしたの?」
「ハルトくん。何か用ですか?」
二人して目の前の青年──ハルトに用件を聞くと、爽や
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