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勇者に恋人を奪われて引退した元救国の騎士の復活譚
五年後 消えた英雄に焦がれる少女と一人の冒険者
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に敵陣へ行く歩兵の道を切り開く役割を担う騎兵に別行動させ、持ち前の機動力で本隊に集結前の比較的少ない戦力の敵軍の増援部隊を叩き、撹乱させた敵部隊を同じく機動力に優れる軽装歩兵部隊と魔法師部隊で一気に撃滅させる、所謂『各個撃破戦法』取り入れた作戦でした」

 そこで一旦区切り、一拍置いた後、また続けた。

「今では定石となったこの『各個撃破戦法』ですが、当時では革新的で、当然敵部隊はその作戦に対する対抗案を短期間で見出せずに、山の上から高速で駆けてくる騎兵部隊に不意を突かれて(ことごと)く壊滅させられました。壊滅させられた部隊からは伝う手立てがなく、当然敵軍の本隊は壊滅状態の増援部隊の事と、革新的な戦法を使ってくる王国の事も感知することが出来なかったようです。それに、王国側はこのレチアド山の立地には詳しく、夜でも休息中の敵部隊を探し当て、襲撃し、眠らさせないようにさせ、体力と士気の低下も促したとのことです。しかし、そこに魔法師団が立ちはだかりました。遠距離から騎兵部隊を一方的に攻撃し、為す術もなく魔法を食らい、十数回の襲撃時には騎兵部隊の被害は甚大になっていました。順調だった『レチアド作戦』でしたが、要となる騎兵の被害が大きくなったことにより、続行は不可能とされ、一番の悪手である籠城戦に踏み切ろうとした矢先、撤退中の騎兵が幸いにも敵軍本隊を発見しました。殆どの本隊へ合流するはずであった敵増援部隊を道中で壊滅させたので、本隊は未だに到着を待っている様子だったそうです。そこで、エマ・エルレガーデン大将は本隊への総攻撃を命令し、残る全戦力で本隊を叩きました。しかし、帝国の精強な重装歩兵を中心とした編成をした部隊との戦いの結果は痛み分けで終わり、次に撤退戦に移行しました。騎兵、軽装歩兵と魔法師は撤退を優先し、重装歩兵は殿を努めました。この撤退戦は負けることが出来ません。何故なら、全戦力を投入している今、ここで戦力を大方失うことになれば、国境はがら空きになり、更なる被害が国内に及んでしまうからです。そこで大活躍したのが、『救国の戦槍』という名で知られる英雄、エデル・バデレイク大尉でありました。彼が先頭に立ち、鬼神の如く、大勢の敵兵士を薙ぎ倒し、そのお陰で同じく殿を努めていた重装歩兵達にも被害が少なくも、前線を維持することが出来ました。その後、互いの戦力差が縮まった時に、大規模な反抗作戦を決行し、見事撃退。結果、作戦は成功し、北方鎮台、国境と共に、王国が救われました」

 長い説明を一言一句噛まずに言い終わり、リールは「以上です」と教官に区切りを付け、席に静かに着席する。

「よろしい。実に分かりやすい説明だった。皆、拍手」

 多くの拍手が巻き起こり、少し照れるように顔を背けるリール。

 教官は満足そうに頷き、拍手が鳴り止んだとき、再びリール
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