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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv66 王子の決意
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確実に乱れるでしょう」
「確かに、急な変化は民達を惑わせるだけですな。今は、それも已む無しか……」
 アヴェル王子やウォーレンさんも、少し肩を落としつつ、それに同調した。
「現状だと、コータローさんの言う通りにするしかない、か……」
「王子、今はそれが……最善の方法なのかもしれませぬ」
 彼等の言葉を聞き、他の者達は暗い表情で俯いていた。
 アズラムド陛下は目を閉じ、大きく息を吐いている。
 恐らく、断腸の思いなのだろう。
 と、ここで、太守の1人が声を上げた。
「ラー殿……1つ聞きたい。私は今も疑問なのだ。魔物達はなぜ、このような回りくどい手段を用いたのであろうか? それほどの力を持つ魔物ならば、我等を欺かずとも侵略できようものだが……」
「それは簡単な話だ。魔物達がこの世界を本格的に攻めるには、精霊王リュビストが施した浄化の結界を取り除くしかないからだ。だが、精霊王の結界は、そう簡単に破る事はできぬ。如何に強大な力を持つ魔物達でも結界を破るには、それこそ、数百年……いや、数千年の年月が必要な程に強力な結界なのでな。だから、魔物達はこのような手を用いたのであろう」
 続いて、ラミナス公使のフェルミーア様が話に入ってきた。
「ラー様、貴方のお話が正しいならば、魔物達に攻め滅ぼされた我が故郷ラミナスは、その結界が破られたという事なのですか?」
「ああ。それ以外に考えられぬ。浄化の結界が完全に破られたら最後、魔の世界の瘴気がこちらの世界にどんどん押し寄せてくるようになる。それだけではない……濃い魔の瘴気が満たされれば、魔の世界最下層の強大な魔物達が自由に行き来できるようになってしまうのだ。残念だが……そうなってしまったら、もはや成す術はあるまい。特に、魔の世界最下層の魔物は、今のこの世界に住まう者達では、到底太刀打ちできぬほどの恐ろしい力を持っているのでな」
 この場に、息苦しさを感じさせる程のどんよりとした重い空気が漂う。
 こんな事を言われたら、誰だってこうなるだろう。 
 そんな中、ヴァリアス将軍がオッサンに訊ねた。
「ラー殿……貴方は今、到底太刀打ちできぬと言われたが、我が国最精鋭の騎士達でも無理であろうか?」
「残念だが、無理だろう。いや……良い勝負になりそうな魔物はいるだろうが、魔王級の魔物はダメだ。奴等は1体で、この国を攻め滅ぼすことも可能なくらいの強さを持っている。アシュレイアと戦った者達なら、我の言っている意味がわかる筈だ」
 ヴァリアス将軍はそこで、アヴェル王子とウォーレンさんに視線を向けた。
「今の話は本当ですか?」
 2人は口を真一文字に結び、悔しそうにゆっくりと頷いた。
 アヴェル王子は声を絞り出すように、弱々しく告げた。
「ヴァリアス将軍……ラー殿の仰っている事は本当です。残念ですが……あ
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