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Dragon Quest外伝 〜虹の彼方へ〜
Lv66 王子の決意
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取れる最善の方法は1つしかない。後はここにいる者達が、それを納得できるかどうかだ……)
 ふとそんな事を考えていると、ヴァロムさんは俺に話を振ってきた。
「コータローよ……お主はどう思う?」
「え? 私ですか?」
「うむ。お主は物事を柔軟に考えれるからの。お主の考えも聞いてみたい」
 俺に振るなよとは思ったが、訊かれた以上は仕方がない。
(なんか知らんけど……俺はどんどん深みにはまってる気がする。蚊帳の外の方が楽だったけど、もう抜けないところまで騒動に足を突っ込んだから、諦めるしかないか……ハァ……)
 とりあえず、最善と思われる方法を話す事にした。
「私のような者が、このような場で意見するのは恐れ多いですが……現状を考えますと、取れる方法は1つしかないのかもしれません」
 アズラムド陛下が訊いてくる。
「申してくれぬか、コータロー殿……ゴホッ……」
「賛否はあろうかと思いますが……今はこのままにしておくしかないと、私は思います」
 俺がそう告げた直後、この場は少しざわつき始めた。

【なッ!? このままだと……】

 アヴェル王子は怪訝な表情を俺に向ける。
「ですが、コータローさん……魔物達が創った女神をこのまま信仰するというのは……いくらなんでも……」
「アヴェル王子の仰る通り、魔物達が創った偽りの女神というのは、紛れもない事実です。ですが、女神イシュラナは、このイシュマリア国が誕生してから3000年もの間、官民一体となって信仰し続けてきたモノであります。ある意味、この国が存在する証と言っても過言ではないほど、皆の心の中に深く根差しております。偽物だからと言って、皆の心の中からイシュラナを取り除くのは不可能だと思うのです。人はそんなに簡単に、生き方を変えれません。ですから、当分は今のままで行くしかないのではないでしょうか。陛下も仰られましたが、下手な事を伝えると、民達はますます混乱すると思います。それによって疑心暗鬼に陥いり……イシュマリアは乱れるかもしれません。それだけは絶対に避けるべきだと思います。魔物達と戦わなければならないのに、味方同士で争う事になったならば、魔物達の思う壺だからです。それに……魔物達が創り上げたイシュラナの教え……理由はどうあれ、全てが間違ったモノではないとも思います。ですから、今は何もしない方がよいと私は思うのです」
 俺の話を聞き、ここにいる者達は全員、やるせない表情になり、肩を落としていた。
 皆、薄々はそう感じていたんだろう。
 ヴァロムさんとヴァリアス将軍、そしてヴォルケン法院長は静かに頷いた。
「コータローの言う通りかもしれぬな……今はまだ何もせぬ方が良いか……」
「魔物達にしてやられた悔しさはあるが、私もそれしかないと思います。もしこの事を世に公表すれば、イシュマリアは
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