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星河の覇皇
第六十九部第五章 分権派の警戒その十四
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「まさにその通りだ」
「敵が無能な者を重く用いてくれれば」
「有能な者を排除してくれれば」
「まことに有り難い」
「そういうことですね」
「連合の中ならまだいい」
 時として手を組むことも多いからだ、この辺り連合の中の実に複雑に入り込んだ政治の世界の事情がある。
「しかしエウロパはな」
「完全な敵ですから」
「もうこれ以上はないまでに」
「千年来の関係です」
「まさに不倶戴天の敵同士です」
「あの新しい総統はそう考えるとな」 
 実にとだ、グリーニスキーは顔を顰めさせてギルフォードのことも話した。
「厄介な相手かもな」
「その有能な敵かも知れない」
「だからこそですか」
「総統に就任して早速だ」 
 まさにだ、その瞬間からというのだ。
「人材を集め動きだしているな」
「復興政策を開始し」
「財政改革も行っていますね」
「軍事もですね」
「大々的に再建に乗り出していますね」
「これまでエウロパは緊縮政策だったが」 
 敗戦後はそうしていた、ラフネールはそれにより財政をはじめとした国家の破綻を防いでいたのだ。要するに現状維持に近いものだった。
「しかしだ」
「それをですね」
「一転させてですね」
「一気に大きな政策に出ましたね」
「うって変わって」
「まるであれはだ」 
 グリーニスキーはこうも言った。
「ヒトラーだな」
「あの男のですね」
「総統に就任してからの政策ですね」
「大々的に軍備を再建し公共事業を行い経済を活性化させ財政も再建した」
「その政策ですね」
「あれを再び見ている様だ」
 この時代で、というのだ。
「出来れば消えて欲しいが」
「しかしですね」
「それをどうするか」
「それが問題ですね」
「どう手を打つか」
「エウロパに対して」
「打てればな、世界が離れ過ぎている」
 連合とエウロパはだ、隣接していても国交はない。そしてそのうえで激しくいがみ合っているのが両国なのだ。
「これまで千年の間そう思ってきたが」
「常にですね」
「あの戦役以外我々は手を打てなかった」
「そしてあの総統にもですね」
「打てないままですか」
「どうにも」
「そうだ、忌々しいが」
 実際に歯噛みする顔でだ、グリーニスキーは官僚達に話した。
「我々はエウロパのその有能な敵を見ているしかないだろう、そしてだ」
「今すべきことをするのですね」
「各国の力を一つにし」
「そして中央政府にあたる」
「そうするのですね」
「そうしよう、では明日だ」
 再び、というのだった。
「また伊東首相と話そう」
「お二人で、ですね」
「そうされますね」
「そうしよう、何かと厄介な人物だが」 
 しかしというのだ。
「少なくとも今後今回は味方になってくれる」

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