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人理を守れ、エミヤさん!
いい加減に士郎くん!
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■いい加減に士郎くん!




 ジュラの森から北西に向けて走ること数時間。
 高かった陽は地平線に傾き、夕焼けに染まる晴天に夜の訪れを感じた。

 遠くにオルレアンの城が聳えているのが見えた。
 風を切って疾く駆ける機械仕掛けの馬。その燃料も尽きかけていたが、使い潰すことを考えれば後半刻はその走りを継続できるだろう。

「……人がいない」

 カルデアのマスターが呟く。その声は風に浚われ、相乗りしているデミ・サーヴァントの少女にしか聞こえていなかった。

「竜の魔女の勢力圏だからでしょう。恐らく、もう生きている人はいないかと」
「無関係の者を巻き込む恐れはない、ということだ。――アルトリア、マシュ、心に刻め。手加減や容赦は一切無用だ。人類の興廃はこの一戦にある。正しい歴史に流れを戻すことが、魔女の殺戮を否定する唯一の手段だと肝に銘じろ」

 セイバーのサーヴァントが重々しく頷く。
 精霊との戦いではなく、邪悪との戦いであり、私欲のない戦いであり、世界を救う戦いである。一対一の戦いではないが聖剣は相手が己よりも強大なモノであると認め、秘めたる星の息吹を放っていた。

 赫と輝きを増す聖剣はその真の力を拘束する十三の条件の過半を解除され、今やかつての聖杯戦争の時よりも力を増している。

 令呪の補助もなく、マスターからの魔力供給だけで放てるのは一度が限度だろう。カルデアから魔力を供給されているマスターですら、全開に近い聖剣を支えるには足らないのだ。
 だが、マスターの手には三画の令呪がある。一日に一画、令呪を補填されるため、使い惜しむ必要は微塵もない。マスターは聖剣を使用する時は、躊躇いなく令呪を切るつもりだった。

「……正面、敵影。どうやら馬鹿正直に籠城に徹さずに、こちらの力を削ぐため迎撃に出たか」

 敵は魔女とはいえルーラーと思われる。
 サーヴァントの位置情報を把握できるのなら、オルレアンに一直線に近づいていくカルデアのサーヴァントにも早い段階で気づけただろう。
 迎撃に出てきたのは、見るに耐えない醜い魔物だった。それに、竜種のワイバーンもいる。魔物の混成軍といっても混沌とした様相を呈していた。

「あれは……」

 セイバーが表情を険しくさせた。巧みにバイクを操縦しマスターと並走しながら近づく。

「マスター。私はあれを知っています。海魔です。敵にキャスターのジル・ド・レェがいる。注意してください」
「ん? フランスの元帥がキャスター? 騎士ではなくか」
「はい。あれは堕落した反英雄『青髭』として恐れられた怪物が宝具で召喚した魔物でしょう。あの群れを殲滅しても意味はありません。魔力の続く限り無限に召喚出来るはずなので徒労に終わるでしょう」
「……知っていることを話して
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