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SAO−銀ノ月−
「わたしは、わたしです」
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より殻はあっという間に破壊され、本体のNPCが丸見えとなってしまう。ショウキはそっと少女に手を差しのべて――

「わたしは……プレミアです」

 ――その一言と少女が自ら殻を破って外に出るとともに、ケンタウルスを形作っていた鎖は消えていく。目の前にいるのは《Pray The Origin Medium》というボスの本体ではなく、《プレミア》という確固とした意思を持った一人の『人間』なのだから。もはやクエストに意味はないとログを叩けば、カーディナルもそう思ったのかは知らないが、《聖大樹の巫女》のクエストは成功でも失敗でもなく消失していった。

「おかえり、プレミア……っと」

 ひとまず終わったのだろうとショウキは一息つきつつも、急激な緊張感の欠如から倒れてしまいそうな身体を踏ん張ると、プレミアが抱きついてきていて。少し距離をとろうかと思ったものの、ショウキの胸の辺りに顔をうずめてすすり泣く音を聞いてしまえば、そういうわけにもいかなくなって。

「こわかった……こわかったです……」

「ああ、もう大丈夫だから」

「頭の中に知らないことが無理やり流れ込んできて…………でも言ってこと、嘘じゃないんです。わたしの本当の気持ちも入ってました。わたしは、『悪い子』です……」

「これくらい、人間なら誰だって自分探しとか言ってやるもんだよ」

 ちょっとした騒動になってしまった家出だったが、こうしてプレミアが人間になれたのなら悪いことばかりではないと。慰めるように言った言葉に、腕の中のプレミアがピクリと反応する。

「ショウキもこういったこと、したのですか?」

「あー……その話はまた、な」

「はい。またです。約束です」

 そうしてうずめていた顔をあげたプレミアの顔は、涙ながらに笑っていた。もう心配はいらないとばかりに、ここにいるのは、呼びかけられた《プレミア》当人であるという証明のように。そんな笑顔を見せたプレミアを移す視界の端に、いるはずのない鼠や他数名のニヤケ面が映って。

「あー……いい雰囲気のところ悪いんだけどナ、そろそろいいカ?」

「そ、そうだな……」 

 わざとらしく咳払いなどしつつ話しかけてくるアルゴに、ショウキはさっとプレミアの側を離れていく。名残惜しそうな少女の声は聞かなかったことにすると、どうやら影の死神は倒し終わったようで、そちらと戦っていたメンバーはみんな見学ムードに入っていたようだ。

「急いで駆けつけたらこれか? ショウキ」

「まあまあキリトくん……プレミアちゃんも無事だったんだから」

「しかしアスナ。ショウキはリズとそういう関係で――」

「――何が起きるか分からない、もう手早く済ませよう」

 そのままショウキへの糾弾会に転移しそうな場の雰囲
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