暁 〜小説投稿サイト〜
蒼穹のカンヘル
四十三枚目
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の資料はファイルに閉じてなおした。

「もー! 起きてよぉー!」

「んー…起きるからぁ…ちょっと待てよ…」

体を起こす。眠い。

流石に四徹は気分的に堪える。

「もー! 勝手に連れていくからねっ!」

ヴァーリに抱き抱えられた。

「転移!」

side out








ヴァーリは彼氏を腕に抱いてとんぼ返りで戻ってきた。

「えーと…ルシドラ先生。それが先生の彼氏?」

「うん!」

「子供……よね…?」

「子供…ね」

夏梅と紗枝が顔を見合わせる。

「ヴァーリさん、流石に男の子を誘拐してくるのは…」

「ちがうもん! 同い年だもん! 篝も起きてよぉ!」

「んー…おきてるー…おきてるよー…。四徹から三時間で起こされたよー…」

篝はのろのろとヴァーリの手のなかからでる。

「はじめましてー。おれはひめじまかがり。いちおうとびおくんのはとこですよろしくー………ふぁぁぁ」

最後に欠伸を噛まして、空いていた椅子に座った。

普段アザゼルが座っていた席だ。

「ひめ…じま…?」

「うんー。でも本家とは敵対してるよー。宗主含め実働部隊殺しまくったしねー」

ぽやぽやと眠たげな口調で残虐なセリフを垂れ流す。

「んー…………あー……眼ぇさめてきた…。嫌なこと思いだしちまったなぁ…」

「き、君は人を殺した…のかい?」

「ふーん……」

篝が鳶尾の瞳をじっと見つめる。

「中途半端な眼だね。鳶尾兄さん」

「中途半端…?」

「眼の奥にギラギラしたリビドーがあるのに理性がそれを全力で押さえてる。
だけどロンギヌスを宿した貴方は、必ず人を殺める。自分の意志でだ。どうしても殺さないといけない奴が出てくる。
殺す覚悟はしといたがいい」

声変わりをしていない、少年とも少女とも取れる声は、何故だか大人の言葉のようだった。

「…君もロンギヌスを?」

「勿論」

篝は錫杖を呼び出し、押さえていた物を解放する。

そのルックスに五人が目をむいた。

「この錫杖はカンヘル。始まりのロンギヌスにして、恐らくはトゥルーロンギヌスを越える物。
この姿は色々あってね。人間はやめたんだ」

三対六枚の龍天使の翼に加え、三対六枚の悪魔と堕天使の翼が顕れた。

「見ろよこの翼。カオス過ぎて笑えてこないか?」

「す、すごいのです…聖書に記された天使悪魔堕天使龍全てのオーラを感じるのです…」

「お? そこの魔女っ娘はわかるんだね。感心感心」

篝が六対十二枚の翼を折り畳む。

畳んでもかなりのボリュームだ。

「で? 中学生にもなってない女の子を泣かした大人げない魚類は君?」

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