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提督はBarにいる。
聖夜にシャンパンで乾杯を・1
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ミモザ・ジャパニーズ』です。店長もお味見、いかがですか?」

「おう、貰おうか」

 では準備しますね、と俺の分を作り始める早霜。店内にはクリスマスの定番的な曲が流れている。

「これ、日本の歌手の歌よね?」

「あぁ、山〇達郎な。毎年のようにこの時期になると聞いてる気はするんだが、1回くらい聞かないと落ち着かなくてな」

 JRのCMに使われた事があるこの曲を聞くと、何となくクリスマスシーズンだなぁと感じるのは俺だけか。

「お待たせしました」

「おぉ、ありがとよ」

 早霜が作ってくれた『ミモザ・ジャパニーズ』を口に含む。ミカンの優しい甘さとシャンパンの弾けるような爽やかさが相俟って美味い。飲みやすいし、何より日本の冬を感じさせるのがいい。

「美味いじゃないか」

「……ありがとうございます」

 頬を染めて控えめに喜びを表す早霜が、たまらなくかわいい。

「ちょっと?お客の前でイチャつくの、止めて欲しいんだけど」

 少しムスッとした顔のリシュリューに、現実に引き戻された感じだ。





「すまんすまん。お詫びに1杯奢るよ」

 そう言って俺はソーサー型のシャンパングラスを準備する。縦に細長いフルート型のシャンパングラスではなく、フローズンスタイルのカクテルやソフトドリンクを出す時などによく使われる底が浅めの口が広いグラスだ。そこに角砂糖を1つ。更にアンゴスチュラ・ビターズというリキュールを垂らし、角砂糖に吸わせる。こいつはラムベースのリキュールで、リンドウの根から採った苦み成文をラムに加えて作る。爽やかながら鮮烈な苦みが特徴だ。角砂糖がこれをしっかりと吸ったら、仕上げにシャンパンを適量注いで出来上がり。

「お待たせ、『シャンパン・カクテル』だ」

《シャンパン・カクテルのレシピ》

・角砂糖:1個

・アンゴスチュラ・ビターズ:1dash

・シャンパン:適量



「シンプルなカクテルね」

「100年近く前からあると言われてるレシピだからな。それにこいつはとある映画で有名になったんだ」

 その映画とは『カサブランカ』。1942年公開のアメリカ映画だ。その劇中で主演のハンフリー・ボガードがヒロインに贈った1杯だ……後々有名になる台詞と共に。

「へぇ?どんな台詞なのかしら」

 俺はニヤリと笑い、グラスを持ち上げる。

「一度くらいは聞いた事あるだろ?『君の瞳に乾杯』って奴。あれはこの映画がきっかけで生まれた、と言われている」

「ふふっ、奥さんが居るのに私を口説いて良いのかしら?色男さん♪」

 そう言って微笑むリシュリューと、グラスを軽く打ち鳴らした。




「はぁ……やっぱりノエルのご馳走といえばフ
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