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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
98話:第三次ティアマト会戦(開戦)
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、オペレーターに余計な負担をかけるのは止めるのだ」

しぶしぶと言った態で引き下がったが、どうという事は無い。自分の間違いを認められないお坊ちゃまだっただけの事だ。相手のあることなのだから毎回予測が当たる必要はない。大事なのは『事実に早く対応する』事だ。その辺が身体に染みついていないとは、まだ目線が佐官レベルなのだろう。

「全艦隊で魚鱗を組む。わが艦隊を中心に前方にパストーレ。左翼にパエッタ、右翼にムーアの並びになるように伝令せよ」

「閣下、前衛はパエッタ艦隊ではないのですか?想定された対応策とは違いますが......」

「いちいち指揮官の指示に口を挿むのはやめたまえ。パストーレとムーアの艦隊は新設の上に地方艦隊を集めたものだ。敵の方が数が多い以上、両翼に不安があるよりも前衛と右翼をはじめからわが艦隊が支援すると決めてしまったほうがやりやすい。少し黙り給え」

この会戦が終わったらまずする事が決まった。このおぼっちゃまを更迭することだ。もっとも会戦のあとに生き残っていればの話だが......。

「前衛パストーレ艦隊より伝令。帝国軍は鶴翼の陣形に移行しつつあるとのことです」

魚鱗と鶴翼か。相性は最悪、おまけに敵の方が数が多い。勝機をつかむには中央突破しかないが、その先に控えているであろうメンテナンス部隊も豊富な制宙戦力を持っている。ここはパエッタ艦隊が相対する敵右翼と中央の境界部の突破を試みるしかないだろう。戦力に大差がない以上、撤退する訳にもいかない。そんなことをすれば派閥全体が批判の的にされるだろう。

「パストーレ艦隊、まもなく戦闘に入ります。両翼は2分後に同じく戦闘に入る予想です」

開戦前の独特の緊張感が司令部を包み込んでいる。何度経験しても慣れないものだが、慣れてしまってもいけないものだろう。大丈夫、私はいつも通りだし、この位の不利は今までもあった事だ。何とかできるはずだ。自分に言い聞かせている内に、開戦の合図のように長距離ビーム砲が交わされるのが、モニターに映し出された。静かになったと思ったら、お坊ちゃまは顔を『青く』して、モニターを見つめている。予測が外れて不安なのはわかるが、作戦主任参謀である以上。せめて周囲に余裕がある振り位はしてほしい所だが......。出掛かったため息を堪える。艦隊司令が開戦直後にため息をつくなど、士気に関わりかねない事だ。


宇宙歴796年 帝国歴487年 4月上旬
ティアマト星系 分艦隊旗艦ブリュンヒルト司令室
ラインハルト・フォン・ローエングラム

「ローエングラム伯、おそらく敵は右翼の我々と中央のシュタイエルマルク艦隊の間を抜くことを意図するはずだ。水の流れと同様、敵の勢いをわざわざ真正面から受け止める必要もない。我々が相対する叛乱軍の左翼が突出してき
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