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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
89話:銀匙会
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が、量産によるコスト低下と、帝国全体で見ればさらなる開発投資の理由になった。軍事費は増えても、それによって経済が活性化するなら税収は増える。死に金にはなりませんね」

アルブレヒト殿とフレデリック殿が帝国の30年の流れを整理して下さる。確かに下級貴族だったミューゼル家が事業を興せたのも、帝国が拡大期に入っていたことが大きいだろう。

「では、これらの要素が帝国に無かった場合を想定すれば、ある程度、叛乱軍の状況は推察できそうですね。今までのお話を聞いただけでも、そのような状況はけっして明るいものではなさそうですが......。あちらでは開明的な政策がもっと実施されているのかと思いましたが意外でした」

ヒルデガルド嬢がすこし寂しそうな表情しながら発言した。思うような政策がとれないマリーンドルフ伯爵家に重ねられたのだろうか?おいたわしい事だが、伯爵家ともなれば血のしがらみからは自由にはなれない。だが、それで受け入れる気にもなれなかった。もしもの話だが、リューデリッツ伯があの強欲のような人物なら、俺がしたであろう苦労だ。とても他人事には思えなかった。

「現状分析の糸口は十分そうね。あとはなぜ『自分たちで為政者を選ぶのにこんなことになるのか?』という点を話し合うべきだと思うけど、帝政に慣れ親しんだ私にはどうも想像しにくい部分ですわね」

「身近なものに置き換えて考えると話が早いだろう。私の場合は、『経営者』と『オーナー』の関係だな。経営者候補たちは選ばれるためにアピールするのだろうが現状を無視した大言や理想論を唱える者がいるのだろう。それに本来は『オーナー』は叛徒全体であるはずだが、おそらく実際に選ばれた『経営者』にとってのオーナーは『自分を選んだ叛徒』に限定されるはずだ。あちらの辺境星域の叛徒はおそらく『経営者』にとって『オーナー』ではないのだと思う」

「そう言う観点なら、『奏者』と『観客』にも当てはまるね。『奏者』は『観客』には何とか感動を届けたいとは思うが、『観客』以外には何もできないからね。ただ、この関係が無条件に為政者に適用される事についてはかなり無理があるとは思うけど......」

「軍人であれば、自分の部隊のみの戦功ばかりにこだわり、他の部隊の被害は無視するような感じでしょうか?本来そのようなことをすれば自部隊も全滅しかねませんからそのようなことをする事はありえないとも存じますが......」

経営者、演奏家、軍人の立場から意見が出される。なにも問題が無い仕組みなどあり得ないだろうが、『為政者を選ぶ』事で、『選んだ者』と『選ばなかった者』がうまれ、それによって不平等が生まれるなら、『選ぶ権利を平等に与えても不平等が生まれる』という皮肉なことになるが、この理解で本当に正しいのだろうか?

「淑女の意見としては『
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