暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
89話:銀匙会
[2/4]

しおりが登録されていません
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もある。これからも年に一度は『単独開催』は出来るだろうから、招待する事も考えよう。そうなるとあの3名も呼ばなければ不公平だが、それはそれで楽しそうでもあるしね」

フレデリック殿が、話題を戻してくださった。確かにこの魔法になら年に一度くらいかけられても良い気がする。キルヒアイスがさりげなくお茶を注いて回ってくれた。嬉し気に見えるのは、同じような思いがあるからだろうか?

「フレデリック殿、ありがとうございます。今回、皆様にご意見を伺いたいのは、『叛乱軍の中での経済的格差』に関してです。私たちの分析では、あちらの辺境では農奴に近い水準の経済力の地域もあります。なぜ『自分たちで為政者を選ぶ』にも関わらず、このようなことになるのか?と疑問に思いまして、皆さまをご意見を伺いたいのです」

「事前に資料を頂いていたから確認してきたわ。叛乱軍の現状のデータとマリーンドルフ伯の論文に添えられた30年前の帝国のデータの兆候と似ているというのは、考察を促進してくださるわね。それにしても驚いたわ。言葉をかなり選んでいるとはいえ、30年前と言えばまだ帝位を争って派閥争いが激しかったはず。温和で良識のある方だと思っていたけど、硬骨漢のような所もおありだったのね。ヒルダ?何かしらのお考えがあっての事だと思うから、今しばらくは伯のご指示に従いましょう?」

ヒルデガルド嬢は少し不本意そうだったが、『マグダレーナ嬢がそうおっしゃるなら』と承知された。あの裏事情を知れば、ヒルデガルド嬢は優秀な方だ。理解されると思うのだが他家の内情にそこまで首を突っ込むことは出来ない。早めにリューデリッツ伯に報告だけでもしておくべきだろう。

「RC社に残っていたデータも確認してきた。さすがに公にはできないから、口頭でご容赦頂きたいが、帝国だけを見れば『イゼルローン要塞の建設』と即位を理由にした『戦没者年金と戦傷者対策予算』の増額、帝国政府直轄領への投資の増額が、渡りに船が連続したような形になっていた。先帝陛下は締り屋だったが、陛下は宮廷費や交際費は増額されず、疲弊した軍人を中心とした中間層を保護した訳だ。
当時はイゼルローン特需によって辺境星域全体で、仕事はいくらでもあった。貧困層の一部は移住し、職を変えた事で中間層になる糸口をつかんだ。結果として帝国全体で拡大期に入るきっかけになった訳だ。これがなければ帝国も叛乱軍と似たような状況だったやもしれん。帝国が割れるのを防ぐためにあまり表にはお出になられぬが、身を引きながらこのような結果を出されるとは、どのような深謀をお持ちなのか驚いた次第だ」

「軍の奮戦も大きいだろうね。戦死・戦傷者が減った事で年金と対策費を増額しても負担が増えなかった。戦術構想をがらりと変えて、人命を重視し、兵器の消耗は体制を整えて補った。兵器調達費用は増加した
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ