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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
逡巡
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ないと思いたい。
 だが、アロンソが疲れたような姿に、それ以上は言葉にならなかった。

 まるで自分にも言い聞かせているようにも見えたからだ。
「まあ、いい。だが――その自称オースティンは何をしているかだが」
 首を振って見上げる姿に、バグダッシュも小さく首を振った。
「先の報告のとおり星域間貿易の会社を立ち上げています。評判は上々――良くもありませんが、堅実に仕事をしているようです。貿易の規模を拡充するため、フェアリー社の輸送船を借り受ける契約を予定しているようです」

「表向きはな――それで、その実態は」
 問われ、バグダッシュが首を振る。
「不明です」
 そもそも簡単に実態が分かるようであれば、最初の時点で引っかかっていたはずである。
 白であったからこそ、当初はそう報告し――バグダッシュ自身もそう思っていた。

 だが、目的はわからないが、入れ替わった理由があるはず。
「輸送船か……何かを大量に輸送する必要があるか」
「密輸ですか」
 アロンソが頷いた。
 だが、そうであるならばわざわざフェアリーを使う必要はないはずだ。

 今まで自社で対応していたとすれば、そこに他人を介在させる理由はない。
 むしろ発覚する確率の方が上がる。
「フェアリー社に依頼している輸送船の航路は」
「シャンプール星域からエリューセラ星域への輸送になります」
 苦々し気にバグダッシュが呟いた。
 おそらくアロンソが抱いた疑念と同様のことを思ったのだろう。

 シャンプールにあると言えば農作物くらいだ。
 密輸をするのであれば、フェザーン側航路を使う。
 シャンプール星域にあるのは、シャンプール星域でとれる農作物かイゼルローン回廊に向かう前線基地くらいだ。
「前線基地か……」

 そう思い、アロンソは顔をあげた。
 だが、その反応にバグダッシュが首を振った。
「先のイゼルローン攻略戦によっては、現在シャンプール星域に保管されている弾薬は非常に少なくなっています。仮に横流しがあったとしても、自社で賄える量しかありません」
「攻略戦前にどこかに持ち去ったということは」
「シャンプール基地の補給課を調査しましたが、間違いはありませんでした」

 そう言ってバグダッシュは脇に抱えたファイルを差し出した。
 そこには現在までに運び込まれた数と現在の数が記載された帳簿。
 その資料を見れば、横流しがあることは想像ができない。最も司令官以下全員が横流しに関与していれば別であろうが。
 だが、そうなれば深まるのは謎だ。

 シャンプール星域から何らかのものを輸送していることは理解できる。
 だが、それがわからない。
「捕まえますか」
 既にロイ・オースティンに変わっているという時点で十以上の法律や星間条
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