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ダンジョン飯で、IF 長編版
序章  兄さんが食べられた:ファリン談
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らなければならない。
 今ある装備を売って、稼いだお金で安価な装備を揃えたとしても、あと、日用品、そしてもっとも大事な食料……。
 さらに、抜けてしまったメンバーを埋めるための新しいメンバーの雇用とその装備を調えるための費用…。
「無理だよね…。」
「全然足りねーな。」
「早くしないと、兄さんが消化されちゃう…。ねえ、みじん切りから蘇生した人はいたんだよね? じゃあ…うんちから復活したって話はある!?」
「……ないと思うわ。」
 青い顔をしてマルシルが答えた。
 その時、全員の腹の虫が鳴った。
「ま、まあ、とりあえず何か食べない? 私達、空腹で失敗したようなモノだし、食べ物はきちんと揃えなきゃ。何食べようか?」
「……。」
「ファリン?」
「ごめん。マルシル、チルチャック…。私、今すぐ迷宮に潜るわ。」
「えっ! ちょっと、そんな無茶よ!」
「前衛もなしに僧侶が一人でいけるわけないだろ?」
「一つ考えがあるの。」
「なに?」
「二人に、今すぐギルド抜けてもらうの。」
「えっ!」
「その装備で私が準備をするわ。そうすれば、装備の質を落とさないで済む。それに、二人を巻き込みたくない。」
「ファリン…、そこまで…。」
 マルシルは、少しだけ俯き、そして何か決心したように顔をあげた。
「私も行くわ! ファリン一人じゃ行かせないからね!」
「俺の仕事も忘れるなよ。扉や罠の解除役が不要だなんて言わせないぜ。」
「…ふ、二人とも…。」
 ファリンの目に涙が浮かんだ。
 だが次の瞬間。
 ものすごい勢いで、ファリンが二人の肩を掴んだ。
「本当についてくるの?」
「え、ええ…。」
「ああ…。」
「どんなことがあっても?」
「?」
「?」
 ファリンは、下を向いてフーッと大きく息を吐いた。
「じゃあ…、準備して行こう。」
 二人から離れ、地面に散らばってる寝袋などを集め始めるファリンに、マルシルとチルチャックは、顔を見合わせたのだった。





***





 そして、ダンジョン…いや迷宮の入り口に三人は来た。
 ファリンは、二人に向き直り言った。
「食料だけど…、迷宮で自給自足しようと思うの。」
「えっ!?」
 二人が驚いて声を上げた。
「迷宮内には、魔物があふれてる。だから生態系ができてるってこと。」
 ファリンは、ライオスが持っていた書物から得た情報から結論出しだした。
 装飾の魔物がいれば、肉食の魔物がいる。すなわちそれは地上と何ら変わらないのだと。
 つまり…。
「食べられそうな魔物って、結構居たと思うの。だから無理じゃないはず。」
「ファリン! 正気に戻りな
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