暁 〜小説投稿サイト〜
人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第11話
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して終わり、という雑な仕事を野良犬は好まない。しっかりと殺しきるのが野良犬の流儀だが、残骸の陰に潜む生存者と鬼ごっこやかくれんぼに興じる非生産的な趣味はない。そんな面倒なことをしたくはないので、野良犬は離脱前に戦場をマッハで走り回り、衝撃波で問題を解決するのだ。超音速なので速く、広範囲を攻撃可能で、野良犬にとって一番重要なことだが、弾代がかからないのが良い。弾代がかからないのは格闘も同じだが、野良犬は格闘を好まない。余計なメンテナンス費用がかかるからだ。
 貧乏性と笑うなかれ、独立傭兵のやりくりは大変なのだ。野良犬は標準的な独立傭兵と比べても金にがめついが、彼に言わせれば生来のものではなく、経済感覚の破綻した母親に代わって家事を一手に引き受けていたからだという。母親の死んだ今となっては真偽も不明であるが、お気に入りの攻撃になるくらいには衝撃波による殺傷を多用する野良犬だった。昨日も戦闘終了後は地上をバンバン翔んだものである。
 衝撃波は露出している人間なら一撃で粉砕し、装甲車程度なら撃破は難しくも横転くらいさせられる。大抵の車輌はひっくり返るとどうしようもなくなるので、その後で好きなように料理すれば良い。もっとも、流石に無傷で元気いっぱいの戦車大隊を相手にその戦い方をするほど野良犬も暇ではない。相手は46両もいるのだから悠長なことをしていては取り逃がしてしまう。ここはあくまで真面目に戦うつもりである。
 しばらくは回避に専念していた野良犬だったが、連邦軍の猛攻に防戦一方だったからというわけではない。ここまでは様子見を兼ねた、覗き見しているジオン公国軍に対するデモンストレーションだ。ここからもデモンストレーションだが、様子見ではない。

 反撃の時間だ。
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