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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
戦闘評価
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隊運動により回避してみせたと言ってよいかと」

「それは理想論じゃないか。このような曲芸など、二度などできない。失敗すれば、全滅してもおかしくなかったのではないかね」
「それは……」
「ならば、私の部下に何もせずに死ねということですかな」

 不機嫌そうな声が、もう一方から漏れた。
 上官であっても、不愉快な表情を隠すそぶりもない。。
 アレクサンドル・ビュコックだ。
「言葉を悪くとってもらっては困る。これは今後の同盟軍の方針を決定するのだよ。これを評価するということは、今後もこの曲芸を認めるということだということを、貴官はわかっているのか。今回は良いが、評価のために曲芸をまねて、多数が死ぬことがあったら困るといっているのだ」

「そもそもの前提が間違えていると思うが」
 睨み合った二人を止めるように、言葉はロボスの隣から聞こえた。
 今まで黙っていたシドニー・シトレだ。
「まねるも何も、今回はこうしなければ確実に大きな被害を受けていた。下がったところで、間に合うわけがなかったのだ。艦隊司令長官としては、第五艦隊第一分艦隊の行動には、一切非がなかったと発言させてもらおう」

「理想論ではないですかな。実際に下がったわけでもない――それに、敵は味方殺しをしているのです。通常の砲撃と同じというわけではありますまい」
「それについては、私から否定をさせていただきます。トールハンマーの準備完了から砲撃までは、通常戦闘と何ら変わらぬ速度でありました」
 イーサン・アップルトンの言葉に、ロボスは不満さを隠す様子はない。

「聞いたところそうでもなかったという意見もありましたがね。最も現地での戦いの過酷さまで私は否定するつもりはないが、それだけを見て広い視野を失ってはないですかな」
 同意を求めるように、統合作戦本部長であるコートニーを見る。
 視線を受けて、そこに座る老年の男性が頷いた。

「評価となれば今後の手本になるとロボスが不安としていることもわかる。だが、他に手がないという意味で、スレイヤー少将の機転を認めぬことはできぬ。そもそも他に正解の選択肢など、私には答えられぬよ。貴官はどうだね?」
 反対にコートニーから疑問を投げかけられ、ロボスはただ唸るだけであった。
 周囲の視線を見れば、いずれも厳しい視線ばかりだ。

 自らの味方を発見できず、ふんと鼻息を荒くすれば、了解したと呟いた。
「では、今回の戦闘の評価については、以上とします」
 逆にほっとしたようにコーネフが小さく息を吐いた。
 だが、まだ終わったわけではない。

「次に作戦の評価といたしますが、五分ほど休憩を入れさせていただきます」

 続く言葉を口にして、コーネフは額の汗を拭った。



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