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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
戦闘評価
[4/5]

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よ」
 グリーンヒルのなだめるような言葉と、対照的に吐き捨てるように言ったのはロボスだ。
 睨むような視線にも、ビュコックは動じた様子もなく、小さく頷いた。
「なるほど。では、後ほどの意見を聞いてから、発言するとしよう」

「感謝いたします。資料に記載のとおり」
 そう言って、コーネフは目の前の資料をめくった。
 どこまで読んだか忘れた。
 急ぎ資料をめくる音だけが響いた。

「コーネフ少将。落ち着きたまえ、資料は逃げはせんよ」
 呟いたのはコートニー元帥であった。
 長く白い顎ひげを蓄えた軍人というよりも賢者といった風貌の男性だ。
 皺が寄った瞳は細く、ともすれば寝ているようにも見える。

 そんな老人の冗談めかした言葉に、静かだった室内に一瞬の笑いが広がった。
「し、失礼いたしました。資料をもう一度説明させていただきますと、イゼルローン要塞の攻略は結果としてなりませんでしたが、戦術的有効性は十分に証明され、敵要塞に打撃を与えたという点においては、イゼルローン要塞があの地にできてから初めてのことです。我々どもとしては、敵に対して畏怖を与えるとともに、今後の戦闘において有効な戦いであったと判断しております」

 ご意見はと問うた視線であったが、否定する人間はいない。
 そもそも表向きの説明である。
 表向きとはいえ、同盟軍としての判断ということだ。
 ビュコックといえども、この場で違うとちゃぶ台をひっくり返すほどに馬鹿ではない。
 コーネフにとっては気の毒なことに、ただ意地悪いだけである。

「問題はないようだ。続けてくれ」
「は。続きまして、各戦闘の詳細となります。まず、準備においては、各艦隊及び司令部の連携によって予定以上の練度を維持しております。計画が若干前倒しになりましたが、後方支援も十分に行われていると思われます」
 顔をあげたコーネフの前に、多数の頷きを見て、言葉を続ける。

「戦闘ですが、三段階に分かれております。即ち、接敵からの並行追撃及び要塞への攻撃――最後に敵が味方ごと砲撃を行った後の行動」
 先ほどと同じように資料に書かれていた内容を読むだけであったが、結論から言えば問題がないとの評価である。

 元より、最初―−表向きの時点で問題がないとの評価が出ている。
 あるいは出来レースのようなものだったかもしれない。
 語り終えた後にコーネフが顔をあげれば、概ね満足したような頷きが見える。
 ほっと小さく息を吐き出せば、不機嫌そうな声が上座から聞こえる。

 ロボスだ。
「並行追撃と要塞への攻撃については問題がない。だが、最後はどうなのだ」
「は。敵の攻撃に多数の被害が予想されましたが。しかしながら、最前線でトールハンマーの照射を受けた第五艦隊の第一分艦隊は、見事な艦
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