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ドリトル先生と奇麗な薔薇園
第十幕その一

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                第十幕  花の舞台
 先生は動物の皆にトミーそして王子と一緒に舞台を観に行きました、王子の後ろにはいつも執事さんが控えています。
 その執事さんについてです、先生は言いました。
「侍従さんですよね」
「はい」
 その執事さんが答えてくれました。
「本来の役職の名前は」
「そうですね」
「はい、ですが」
 それでもと言う執事さんでした。
「皆そう呼んでくれています」
「執事さんとですか」
「そうなのです」
「王宮で働いてくれているからね」
 それでとです、王子もお話しました。
「役職も実際にね」
「侍従さんだね」
「そうなんだ、僕付きのね」
 こうお話します。
「侍従さんなんだ」
「そうだよね」
「けれど皆ね」
「執事さんとだね」
「呼んでるし僕もね」
 王子ご自身もというのです。
「執事さんってね」
「呼んでるんだ」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「昔から今もね」
「成程ね」
「うん、けれどね」
「けれど?」
「別に何も困ってないしね」
 王子もというのです。
「これといってね」
「だから執事さんとだね」
「これからも呼ばせてもらうよ」
「私もです」
 その執事さんも言ってきました。
「執事さんと呼ばれることは」
「気に入っておられますか」
「妙に面白い感じがしまして」
 それでというのです。
「特に日本に来てから」
「イギリスにおられた時よりも」
「はい、日本では執事さんのお店もありますね」
「メイド喫茶の様にですね」
「執事喫茶もありますので」
「だからですか」
「妙に面白く感じていまして」
 それでというのです。
「気に入っています」
「そうですか」
「それに日本では侍従さんといいますと」
 執事さんは王子のすぐ後ろの席に控えています、先生達はもう劇場の観客席に座っています。王子は先生の左隣にいてトミーは右隣にいます。そして動物の皆も周りにいます。
「日本の皇室ですね」
「あちらですか」
「間違えられると恐れ多いので」
「恐れ多いですか」
「エンペラーですから」
 日本の皇室はというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「日本の宮内庁の方と間違えられますと」
「あれっ、おかしくない?」
 ここで動物の皆が言いました。
「王子はれっきとした一国の後継者だよ」
「将来王様になるし」
「前から思っていたけれど」
「王子って日本の皇室には低姿勢だよね」
「他の人達にはフレンドリーで」
「日本の皇室には何で腰が低いの?」
「執事さんも」
 それがどうしてかと思う皆でした。
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