43 字で書くと長々。想像だと一瞬。
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さて、いよいよ佐々木家に向かう頃である。佐々木家は代々幕府の要人を輩出する名家であるが、現当主の佐々木異三郎はどうやら重度のメルオタらしい。「のぶたん」とかいう用心棒を常にそばに置いているらしく、何かと黒い噂の絶えない人である。だが実家は意外と郊外にあるらしく、行くのに3時間ほど時間がかかった。本音を言えば魔法を使って瞬間移動をしたいのは山々だが、何しろ人間の連れがいるものだから、そんな超常現象的なことはできないのである。下手なことをして怪しまれても困るし。なのでとりあえずは人間らしく交通機関を乗り継いで向かった。他の鬼兵隊のメンツは船で近くの港まで来るらしい。あとで落ち合う約束のようだ。
さすがはメルオタ。私のスマホが佐々木からのメールの着信を告げる。隣に座っていた晋助も私のスマホを見ている。何が書いてあるのか気になっているのだろう。見られるのも面倒くさいので、私は来たメールをそのまま晋助に転送した。着信が来たらしく、自分の懐からスマホを取り出してみていた。ちなみに二人とも、まだ男女が反転してままの格好である。恰好的にはまだ私は男性のままなので、晋助の方に腕を回して額を寄せ、今後の予定について語った。あァ分かった。とだけ返事をしたのでどうやらちゃんと聞いてはいたようだ。気になる内容としては、「駅からの迎えにはのぶたんを派遣する」、とのことだったので、駅に着いたら噂の『のぶたん』とやらを探さなくてはならない。だがメッセージを読み進めると探すときの参考になさるように、と写真が添付されていたので、開けてみるとなんともまぁ見覚えのありすぎる女性がドーナツ咥えて写っている写真があった。人物の紹介にこんな写真を使う方も使う方だが、こんなことをいちいち気にしていたら世の中生きていきていくのがとても難しいので、気に留めないことにした。でもなんだ、彼女は私のバリバリ知り合いじゃないか。私の記憶が正しければこの女は奈落時代に同じく奈落三羽に数えられていた「骸」である。当時女性が2人、奈落三羽に数えられることはとても珍しかったので、同じような実力者同士、またお互いが同じ性別であるということで私たちはお互いそこそこ仲が良かった。
骸にまた再び逢えるとは。いや、今はのぶたんか。おそらく私と同じような名前を持っているのだろう。だが、彼女が私を覚えているとも限らない。
しばらくすると、降りる駅に来たので、私たちはそこで降りた。改札を通ってロビーに出ると、地味な着物に身を包んだ『のぶたん』が角の方で待っていた。晋助と顔を見合わせ、急いで彼女の元へ向かった。さすがは奈落三羽である。私たちが声をかける一歩手前でこちらに余裕をもって振り返り、異三郎?とだけ言葉を発する。どうやら我々にとっての合言葉であるらしいので、無言で頷くと彼女はただ、外。とだ
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