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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第二部 原作開始
第二章 王子三人
第二十五話 師弟二人
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中が我が刃の届くところにあったのだ。そこに小娘が割って入らなければ、ペシャワールからキシュワードの軍勢があの場にたどり着かなければ!

だが、今ならば!今度こそこの俺をパルスの神々が嘉したもうたのだ。今日この日をもって、貴様アルスラーンと、この俺ヒルメスの、呪われた因縁に終止符を打ってやる!


むしろ俺の方から甲冑を鳴らして相手に自分の存在を教えた。弾かれたように二人がこちらを振り向き、そしてアルスラーンは緊張に顔をこわばらせ、シンドゥラの優男は口元を緩ませ言い放った。

「おやおや、そちらにおわすはアルスラーンの叔父御のヒルメス王子か!俺はシンドゥラの王子ラジェンドラ!こんな辺塞に三人の王子が一堂に会するとは、実に奇遇ですなあ!」

この男、俺を知っている?シンドゥラの王子だと?いや、その前にこの男、何と言った?この俺をこの男は…

「…貴様、今この俺を何と呼んだ?」

「ん?叔父御だよ?お主の父親はオスロエス王ではなく、真はゴダルゼス大王だからな。『ゴダルゼス大王の子の代でパルスは滅びる』そんな予言を受けたからと言って、息子に嫁を差し出させる方も、嫌々ながらでもそれに従う方も、全くどうかしているよなぁ」

「ば、馬鹿な…、貴様は何を言っている…。何故、そんなことを知っている…?」

「そりゃあアンドラゴラスに教えてもらったからな。前例から言って、オスロエスの後にはアンドラゴラスが続く、自分にもう一人子供がいれば、その子まで、つごうあと三代パルスは滅びずに続く、か。ゴダルゼス大王もよく考えたものだが、そんな老人のたわごとに付き合わされる方はたまったもんじゃない。付き合いきれないとばかりにオスロエスとアンドラゴラスが大王を弑したのも無理も無い話だよなあ」

「…ら、ラジェンドラ殿、そんな話をいつ父から…?」

アルスラーンの今の言葉、その調子だとこいつもこの話は初耳だというのか!?

「さあて、いつだったかな。あんまり昔のことなんで、いつだったかなんて覚えてないな。ついでに言うと、アンドラゴラスはオスロエス王を弑してはいない。オスロエスは病死でな、で、いまわの際に弟のアンドラゴラスに頼んだのだそうだ。『ヒルメスを、あのゴダルゼス大王の呪われた息子を殺してくれ!』とな。つまり、お主らの、アンドラゴラス王は先王オスロエスを弑したからその即位は無効との主張は間違い、と言うことだ。アンドラゴラス王は適法に即位し、そして王統は王太子アルスラーンに受け継がれる。ゴダルゼス大王の末子たるお主のしゃしゃり出る余地は何処にもない、ということさ!」

「…う、嘘だ…。そのようなこと、真実である訳がない!」

自分の声がまるで自分のものでないかのように響いた。俺の声はこんなに力なく、ひび割れたものだっただろうか?

「い
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