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人類種の天敵が一年戦争に介入しました
第6話
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職業病と言ってもいい。甘い見積りで部下を殺すわけにはいかないからだ。地上部隊は何も僻みや被害者意識だけで宇宙艦隊を馬鹿にしているわけではない。初戦のコロニー攻防戦で得た戦訓を共有出来ずにルウム戦役で大敗した宇宙艦隊は、やはり軍隊として意識が低かったと言わざるを得ない。素人集団と馬鹿にされる由縁である。
 地上部隊に隙はない。機甲部隊は百戦錬磨であり、航空機部隊はマスドライバー攻撃を生き延びた虎の子。急遽編成された混成軍ではあるが、その士気は高く、戦意は旺盛で、目標は解釈の余地なく明らかだ。空と大地を貫いて、彼らは今、そのとき一つだった。そしてそのまま一つ所で死ぬことになる。

 公開通信でされた宣言を、全軍が一斉に傍受した。

「あー、テステス。我々はリリアナ。付近の地球連邦軍へ。我々はこの通信が聞こえているすべての地球連邦軍を攻撃する。聞こえていなくても攻撃する。以上」

 通信が切れるや否や、早期警戒管制機が2機とも爆散した。護衛機はノータイムで散開し、自機への被害を回避した。結果だけで言うなら悪手だった。たとえ攻撃されることになろうとも、増速し、少し前を飛行する爆撃機部隊の護衛に参加するべきだったろう。
 護衛機が全力で横方向への機動を見せて前進速度が鈍った瞬間、後ろから現れた襲撃者が散開した護衛機をごぼう抜きにした。当然、その先にいるのは爆撃機部隊。散開することで位置と速度を無駄にした護衛機だったが、二度続けてのミスはしなかった。今からでも真っ直ぐ追いかければ敵を真後ろから撃てるチャンスがある……ように見えるが、その先にいるのは味方だ。角度を付けた攻撃で誤射の無いようにするしかない。後方集団と化した護衛機は高度を上げながら増速した。
 爆撃機部隊の護衛機は鋭く反転し、襲撃者を迎え撃った。彼らの視界に映ったのは、戦闘機でもジオンの巨人でもなく……真っ白な光の塊だった。全身を噴射炎に包まれているように見えるナニカ。目を疑う光景だったが、彼らは一瞬も躊躇わなかった。なにしろ、目標の速度はマッハ2。すれ違うような反航戦では攻撃のタイミングは一瞬だ。

 そして彼らは目撃する。相対速度により敵から見れば発射直後にも関わらずマッハ4を越えているはずのミサイルが、次々に撃ち落とされていく。その直後には、ミサイルを発射した機体が餌食となる。敵をロックした一瞬を逆に捉えられたのだ。
 それでも落とされなかったミサイルが敵に向かう。更に、味方が落とされていく一瞬、その一瞬の積み重ねの間に追い付いた後方集団の護衛機が敵の上からミサイルを発射。正面と後方斜め上からの同時攻撃。これは当たるか、と思った直後、更なる驚きが彼らを震わせる。敵はマッハ2で進みながら、瞬間移動と見紛うばかりの横っ跳びでミサイルを回避したのだ。しかも複数回。明らかに空力で飛ぶ機体
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