最終章:夢を追い続けて
第75話「そして……」
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ふと思い返すように、秋十達が根回しした事を考えていた。
「(生活面で俺たちを支えるために同行していた人達は、全員が俺たちに脅されたとして最大限まで罪を軽くし、自分から協力していたドクター……ジェイルさんを含め、皆の罪の責任を俺たち二人げ負う形にする。そして、俺たちが技術発展に貢献し、そのサポートを他の皆で行う。……それによって生まれる利益によって、刑期が縮まる……か)」
なんともご都合主義。
そう桜は考える。
「(……ここまで持ってくるのに、一体どれほどの根回しを……)」
そこまで考えて、桜は自然と笑みを浮かべた。
「(“一人でやれる事には限界がある”。……つまり、“一人じゃなく皆”でなら、その限界を乗り越えられる。……俺の示した“道”に気づき、それを成したんだな)」
そう。あの時、臨海学校で秋十に言った言葉。
“一人では限界がある”。それは裏を返せば“一人じゃないなら乗り越えられる”という事を示していたのだ。
故に、秋十は、秋十達は周囲と協力し、人と人との繋がりを辿り、これほどまでに都合のいい状況まで持ってきたのだ。
「(“天才じゃない”からこそ成しえた事……だな)」
“天才”とは、理解できない者に対する蔑称だと、桜と束は考えた事がある。
並外れた才能を持つが故に、周りとの関係を上手く構築できない。
そのため、理解されずに“天才”と称される。
そして、秋十達のように、広い関係を持つ事が出来なかった。
桜と束という“天才”ではないからこそできたのだと、桜は考えた。
「(っと、今は目の前の事に集中しなくてはな)」
思考に没頭していた事に気づき、桜は気を取り直して作業に戻った。
……こうして、二人の刑期が縮まる度に画期的な発明がされる。
その発明品が、世界に大きな発展を齎すのは、自明の理だった。
それにより、経済に混乱が訪れるのだが、それはまた別のお話……。
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