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獣篇V
37 時代の流れには従いましょう。
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提督から貰っていた鍵を使って、私たちは神威を抱えて牢へ入った。腕の中の神威が、私の腕を掴む。

_「神威、どうしたの?」

うっすらと目を開けて私の胸に頭をくっつける。

_「零杏、シンスケ、…?」

そういえば、まだ神威(かれ)
背中に傷を負っていたままだった。
ハッとして晋助に言う。

_「手当ての道具を出すから、しばらく神威を抱えておいてくれるかしら?」

いいぜェ?と言って、私と晋助が場所を交代し、私は例のバッグから道具を取り出した。
まずは、傷口から出た血液を拭くためのガーゼと、斬られた箇所を癒す為の軟膏を取りだし、晋助に神威をうつ伏せにして抱えてもらい、神威(かれ)の服を脱がせミネラルウォーターにガーゼを浸し、優しく血液を拭き取った。綺麗になった傷口にその軟膏をしっかり塗り込み、早めよの呪文を小さく唱えてから、包帯を巻いていく。まずは胴体が終わった。

次に、腕に移る。先程と同じ手順で事を進め、受けた(はずの)傷は全て応急手当てが済んだ。

_「よし、これでいいわ。後は、服が問題だわね。でも、そろそろ時間的に提督のところへ行かねばならないでしょう?」

まァ、そうだな。と晋助が答える。

_「じゃあ、晋助先に行ってて。私は神威(かれ)の服をどうにかしてから後を追うから。じゃあ、このマイクをオンにしててね。」

と言って、小型のマイクを着物の合わせに着ける。しばらくの沈黙の後、晋助は渋々了承の意を示し、先に行った。晋助が居なくなったのを確認してから、神威が言葉を発する。

_「ねェ、零杏?」

_「どうしたの?神威。」

_「シンスケはなぜ、オレを殺さなかったのかな?シンスケなら…オレに手加減をするような男じゃないダロ?」

群青色の瞳が、私を見つめる。
暫し考えてから、私は口を開いた。

_「…さぁねぇ…なぜ晋助(かれ)がそんなことをしたのか、は私には分かりかねるわ。でもね、きっと何かしらの意味はあるわよ。それが何か、はまだ彼にしか分からないけれど。…さ、私はそろそろ行かなきゃだからあなたに新しい服をあげなくてはね。本当は私の服だけど、今回は特別にあげるわ。返さなくていいから大切に使ってね。」

と言って、バッグの中から男物のチャイナ服を取り出すと、神威に着せた。ついでなので、合わせのパンツもセットで渡す。

_「あと、これも。じゃあね。」

と言って牢の鍵を閉めると、私はその場を去った。晋助(かれ)の後を追って提督の場所へ向かう途中、イアホンから提督の声が聞こえてきた。


_「ブアッハッハッハッハ)高杉殿。よく殺ってくれた。これでワシに仇なす反乱分子は消えた。勾狼(こうろう)もその働き、見事であったぞォ?」

_「いえ
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