情報参謀 会議
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言葉を区切ったアロンソを見た。
全員の視線が、アロンソに集中している。
「下の方から、ある程度の情報を艦隊司令部にも伝えた方がいいのではないかとの意見があがってきております」
「できるわけがないだろう。そんなことをすれば、あっという間に帝国にも伝わる」
「ええ。私もそう考えておりましたが、練度をあげるためには目的意識が不可欠だとの意見があります。つまり、何も知らないで漫然と目標だけを与えられるのと、何のためにやっているのか理解するということです。むろん、全てを伝えることはできませんが、どのような訓練を行うかなど伝えるべきところ及びその範囲は、検討することも必要かと」
「で、検討はすんだのかね」
「既に伝えるべき情報と訓練内容の比較は作成しました」
アロンソが手にしていた書類を、周囲に配っていく。
それを見て、アロンソの周囲では紙を手にしてようやく意味を理解したのか、なるほどとの声が漏れた。
そこには伝える対象と、実戦で訓練がどの程度役立つかまとめられている。
つまり、現場の全員に伝えれば、訓練の結果が実戦で役立てる確率は高くなる、だが確実に情報が帝国にも伝わってしまうだろう。逆に今の状態である艦隊司令官やその周囲だけの状態であれば、突発の場合に一切の動きができなくなる可能性があると。第五室の結論としては、せめて分艦隊司令までは作戦内容を伝えるべきではないかと書かれていた。
皮肉を言おうにも、こうまでまとめられていればビロライネンは不機嫌そうに唸って黙った。
「わかった。それについては上に報告しておこう」
そして、リバモア少将があっさりと肯定を口にした。
決めるのは上であって、報告するリバモア少将は何ら問題とはならないと考えたのだろう。むしろ、ここで再びビロライネンとアロンソが喧嘩し始めることの方が嫌だったかもしれない。事なかれ主義がいい意味で発揮された一面だったかもしれない。
+ + +
イーサン・アップルトン中将。
第五次イゼルローン攻略戦における主任作戦参謀を務め、同時に百人近くを要する参謀を取りまとめる役割を担っている。赤色の髭を蓄えたまだ三十代半ばの男であり、堅実な仕事ぶりは空きが開けば、艦隊司令官に最も近い男として名前をあげられている。
書類を手に持てば、アップルトンは艦隊司令長官の扉をノックした。
帰ってくる声はない。
もう一度ノックして、しばらく返答を待ったが、一切の動きがないことに大きく息を吐く。
「また、あの方は部屋にいないのか」
「何か用か、アップルトン中将」
「は、これはシトレ大将。ご報告があってまいりました」
「ああ。すまない、少し司令部の様子を見てきてな。すぐに報告を受けよう」
敬礼に対して、答礼を返せば、シトレはアップルト
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