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デート・ア・ライブ〜崇宮暁夜の物語〜
デート 前編
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れない辺りでぎりぎり留まり、ほぅ、と安堵の息を吐いた。すると、ピクっと折紙の肩が震え、

「・・・んっ」

とどこか悩ましげな声をあげた。そして、折紙が顔をこちらに向ける。気のせいか少しだけ頬が紅くなっているような気がした。暁夜は意表を突かれ、顔を背けようとするが、ガシッと後ろに回された手で頭を固定され、自分の意志に関係なく顔を折紙の顔に向けさせられた。

「・・・・」

「・・・・」

折紙の透き通ったガラス玉のような水色の瞳が真っ直ぐに紅闇色の瞳を射抜くように見つめ、綺麗で柔らかそうな唇の動きやそこから漏れる吐息。 銀色の髪からはシャンプーのいい香りがして、思わずゴクリと唾を飲み込む。ただでさえ、美少女なのにそれが好きな人であればなおさらこの状況下は言葉に出来ないほどにヤバい。暁夜は視線をさ迷わせ、どうしたらと思考をかけ巡らせていると、首筋辺りにぞわりとした感触を覚え、

「・・・ふぁっ!?」

と、思わず高い声を上げる。それと同時に、アクセサリーショップ内の客や店員の視線が暁夜と折紙の方に向ける。主に暁夜の方に。ただ、本人はその視線に気づかずに、折紙にジト目を向けていた。先程の高い声をあげる羽目となった元凶の少女に。

「いきなり何すんだ、折紙」

小声でそう問いかけると、

「先にやったのは暁夜の方。私はただやり返しただけ」

反省の色なんて一切ない表情で、折紙は至極当然のように言ってのけた。

「ったく、いきなり首筋を指で撫でるなよ。 ・・・スされるかと思って焦っただろ」

「・・・今、なんて言ったの?」

「な、何でもねえよ!それよりもさっさとアクセサリー買うなら買うで早く決めろよ!お、俺、ちょっと、トイレ行ってくっから!」

「あっ...暁夜」

折紙がそんな声を漏らすが、暁夜は逃げるようにアクセサリーショップを飛び出した。

「・・・あっぶねぇ! マジで恥ずいぞ!さっきの俺!」

紅くなっている顔を隠すように右手で覆いながら、トイレのある建物へと駆けて行った。そして、一人残された折紙は、

「・・・残念」

自身の唇を指先でなぞってポツリと呟いた。
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