ヒーローは遅れてやってくる
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ない距離。やがて、蛙吹の顔に掌を貼り付けた敵の掌が触れ−−なかった。
「・・・は?」
掌を貼り付けた敵は、身体が動けなくなるほどに重くなった事に声を漏らした。その隣では脳味噌剥き出しの敵が全身を地面に埋まる寸前の体勢になっていた。
掌を貼り付けた敵は周囲をぐるりと見渡し、そして見つける。こちらに手をかざす白黒髪の少年と、その少年を支えるイヤフォン少女とポニーテール少女の姿を。
「ちっ。どいつもこいつも邪魔しやがって。脳無。 そんなもん早く解いて、あいつらを殺せ」
掌を貼り付けた敵がそう吐き捨てると、グググと自身にのしかかる重力を容易く無効にした脳味噌剥き出しの敵、脳無。
「う、うそ。これで50%の重力なんだけど!見た目だけじゃなく全てがバケモンなの!?」
ズキズキとした頭痛に襲われる緋奈は、叫んだ。
「八百万と耳郎ちゃん! ごめん!」
即座にそう叫んで、風を発動し、八百万と耳郎を自分から遠ざける。そして、自分も退避しようとするが、それよりも早く黒い巨大な拳が放たれた。その拳は容赦なく、緋奈の左肩を砕いた。
その瞬間−−緋奈の全身を失神しかねないほどの激痛が襲った。
「−−−−ァァァァ!?」
声にならない苦鳴がUSJに響き渡る。 両足から力が抜け、うまく受け身も取れずに前のめりに倒れる。逃げることも出来ない。動くことも出来ない。ただ、痛みに全てを支配された。
「殺れ、脳無」
掌を貼り付けた敵がそう告げた瞬間、気味悪い叫び声をあげ、拳を緋奈の頭部めがけて振り下ろ−−
『―――死ねぇ!!! クソ|敵《ヴィラン
》ンン!!!』
『マジか、爆豪!? この勢いだと緋奈を巻き込んじまうぞ!?』
『んなこたァ知るかボケェェェ!!』
『知るかじゃねぇエエエエ!!』
少し遠くから響いてくる爆豪と切島の声。
刹那、眩い光がカッと閃いた。 その光は、緋奈を殺そうとしていた脳無の巨体を包み込み、爆発した。 鼓膜が壊れそうなほどの轟音が響き渡り、灰色の煙がモクモクとたちこめる。
「ハッハァ!! 大したこたァねえなぁ!! あァ? クソ敵共!!」
「ばっ、馬鹿野郎! 緋奈ごと爆破させてどうすんだよ!? 気が触れてんじゃねえか、爆豪!?」
「うるせぇッ! あの白黒野郎に当ててねえだろうが!!」
「だとしてもありゃあねえよ!?」
脳無に大威力の爆発を喰らわせた爆豪に、切島が訴える。 と、灰色の煙の中から、
「安心して、切島ちゃん。 緋奈ちゃんなら無事よ」
蛙吹の声が聞こえた。
「どうだ!あァ!? 俺の言った通り無事だっ
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