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第百十一話 イーリス作戦の除幕式です。
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であり、カロリーネ皇女殿下に会いに士官学校に来ていたのである。
 自由惑星同盟士官学校校長室には他に人はおらず、防音処理を施された部屋には盗聴器の類もない事は確認済みだった。にもかかわらず、3人の声はともすれば低くなりがちになる。
 シャロンがどこからか聞いているような気がしてならないのだ。

「狂っているわ・・・・。」

 カロリーネ皇女殿下がつぶやく。目の前の光景は今までのどの式典よりも華麗で豪華であったが、その中にいる人間は画面越しに見ても正気でないことが伝わってくる。
「ええ、狂っていると思います。ですが、こうも思うのです。ああも全市民が同じ信条を抱いているのであれば、むしろそれを抱かない私たちこそが狂っているのではないか、と。」
「アルフレート!!」
「以前の私たちならそう思ったでしょうね。」
カロリーネ皇女殿下はアルフレートの言わんとしていることを理解した。たしかに前世では右に倣え、が主流だったし、他人と異なる意見を抱く人間に対してはどこか冷ややかで排斥する傾向があった世界だったし、その世界に暮らしていたころの自分もともすればそういう考えになりがちだったのだから。
「多数派であろうと、少数派であろうと、私は気に入らないけれど。」
ウィトゲンシュティン中将が軽くと息を吐く。
「もっとも、そうは言ってもシャロンは意に介さないでしょうね。自由惑星同盟のほぼ全員を手中に収めた状態なら、私たち数人が反対を唱えても毛ほどのダメージも与えられないでしょうし。」
微笑を浮かべながら演説を続けるシャロンをウィトゲンシュティン中将は嫌悪の表情で見つめる。
「本当に、このまま情報を集めていてもあの人のウィークポイントを見つけられるとは思えない。」
「そのことですが。」
カロリーネ皇女殿下の声に二人は彼女を見た。
「別の視点で考えることはできませんか?」
「別の視点?」
「シャロンをいくら探っていても、ウィークポイントは見つけられそうにないのであれば、強力な相手と共闘することを考えた方がいいと思います。」
アルフレートは眼を見張った。カロリーネ皇女殿下は最近元気がなく、覇気も失われたのではないかと思ったのだが、今の彼女はまるで別人のように張りのある声をしている。
「それは?」
「帝国と共同戦線を張ることです。」
『帝国と!?』
ひときわウィトゲンシュティン中将の声が高かった。ちょうどシャロンの演説が一区切りしたところで、群衆の歓声がこだましたところだった。防音処理をした壁越しにもシャロン賛美の声が地鳴りのように聞こえてくる。
「はい。」
「帝国と・・・・・。」
ウィトゲンシュティン中将の顔には嫌悪の色がにじみ出ている。彼女の心境をカロリーネ皇女殿下は理解していないわけではなかった。けれど、言わなくてはならない時もあ
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