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82部分:ニーベルングの血脈その十四
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ニーベルングの血脈その十四

「見たところ怪しい場所はないな」
「そうですね。ざっと見回したところ」
 その周辺には何もなかった。
「ナイティング星系からも離れていますし」
「ああ」
 見ればその通りであった。この一帯の帝国軍の本拠地であるナイティングからも離れているのだ。そしてメーロトの軍勢がはじめて現われた場所はやはり中立星系ばかりであった。
「さっきも言ったが中立ってこと自体も怪しいがな」
「はい」
「しかも航路だとナイティングからメーロトの奴が最初に出た星系まで一直線だな」
「あっ」
 皆ジークムントのその言葉にハッとした。
「ではナイティングこそが」
「まあ待て」
 しかし彼はここで部下達を制止した。
「ナイティングまでは遠い」
「はい」
「俺達が今からあっちへ向かってもだ。逆に補給路を押さえられちまうことになる」
「ではどうすれば」
「こっちがな。それをやればいい」
「補給を潰すのですか」
「そうだ。奴等は今何処にいる?」
「今はハノーバーにおります」
「そうか」
「そしてその近辺の反帝国の星系といえば」
「マグデブルク辺りだな」
「ですね」
「まずはマグデブルクに向かうぞ」
「それで彼等を迎え撃つと」
「いや、違う」
 だがジークムントはそれを否定した。
「違うのですか」
「その近くのアステロイド帯等を探す。いいな」
「はあ」
 これには部下達も面食らった。ジークムントの直情的な性格からして戦いを挑むと思ったからである。だが彼はここではそれを採らなかった。
「いいな、全軍マグデブルグに向かう」
「わかりました。では」
 こうしてまずは彼等はマグデブルクを押さえた。そしてジークムントの指示通りアステロイド帯等を調べた。その結果多くの補給物資が手に入った。
「おそらく帝国のものかと」
「やはりな」
 ジークムントは報告を聞いて呟いた。
「そんなこったろうと思ったぜ」
「事前にこうして物資を置いていたのですか」
「ああ。メーロトはな、ただ出鱈目に敵を倒してたわけじゃなかったんだ」
 彼は言った。
「こうしてあらかじめ物資を用意して、そして計画的に敵を叩いていたのですか」
「そうだったのですか」
「そしてこれでマグデブルク侵攻は不可能になった」
「はい」
「次だ。奴はこちらに向かっているな」
「ええ」
 メルヒオールが応えた。
「じゃあすぐにここを離れるぞ。そして同時に軍をそれぞれ艦隊ごとに分ける」
 彼はまたしても指示を下した。
「ホフマン、ヴィッカーズ、そしてイェルザレムの三人にそれぞれの艦隊を任せる、いいな」
「そしてその艦隊でそれぞれ帝国が向かうであろう星系に先回りし、物資を押さえていく」
「そうだ。連中はなまじっか大軍だから動
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