暁 〜小説投稿サイト〜
いたくないっ!
第十一章 遥か、はるか
[2/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
り出す。地が裂け、その裂け目から、凄まじいエネルギーが間欠泉のように噴き上がった。


「この風に、光よ、輝けえ!」


 ひかりが、タクトを振るうようにすっと左右の腕を振り上げた。

 きらきら光る粒子が、ふわり風に舞って、しずかが生じさせた地からのエネルギーへと溶け込んだ。
 融合し、触れば弾かれそうな、明らかな質量を持ったエネルギーは、うねり、風を起こし、砂塵とともに、あおいとほのか、二人の魔法女子を宙へ舞い上げていた。


「この、胸にたぎる激流とっ!」


 上空で、あおいの全身が光り輝いた。

 ぶん、と振るう両手から放たれた青い光が、ほのかの全身を包み込んだ。

 輝く、ほのかの身体。
 落ち始める、ほのかの身体。
 自由落下ではない。身体から赤い粒子が噴き出したかと思うと、一瞬にして、目で追えないほどの凄まじい速度へと達していた。


「胸の奥で、ほのかに燃えているからこそ、絶対に消すことの出来ない、この炎でっ!」


 ジェット機を超える速度で急降下しながら、ほのかは、魔装具を装着した右手を振り上げて、叫んだ。

 黄、緑、青、赤、四匹の龍が、まとわりつくように周囲をぐるぐる這うようにうねる。

 ほのかは一匹の、長い長い、巨大な龍になっていた。


「エレメンタルエクスプロージョン!」


 魔法女子四人の、魂の絶叫に、龍が大きな口を開け、咆哮した。

 なにをする気だ、と、驚きと興味に立ち尽くしている、魔法女子はるかの頭上へと、それは落ちたのである。

 すべてが白い光の中に溶け、
 わずかに遅れて、


 どどおおおおおおおん、


 鼓膜どころか脳味噌すらぐちゃぐちゃにされそうなほどの、凄まじい轟音。
 爆風に、光の粒子が激しく噴き上がり、雲を焼いた。

 ごご、ご、と低く唸る振動。それは、やがて小さくなり、
 視界が少しずつはっきりしてくると、
 そこは、それまで立っていた荒れた平原ではなく、巨大隕石いや小惑星が激突したかのように、大きく半球状にえぐられた、広大な地面であった。

 ほのかたちの超必殺合体技、エレメンタルエクスプロージョンの破壊力である。

「や、やったんか?」

 うつ伏せに倒れていたあおいは、顔を上げ、四つん這いになり、よろめきながらなんとか立ち上がった。

 すぐ近くで、ほのかが、ぜいぜい息を切らせ立ち上がりながら、

「て……手応えは、ありました」

 息を吸うのも苦しそうな、痛みや疲労に歪んだ顔。
 四人の合体技とはいえ、超高速落下で実際の攻撃を放ったほのかが、一番消耗が激しいのは当然だろう。

 ただ、彼女の表情から読み取れるのは、苦痛よりはむしろ不安であった。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ