暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#4
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蠱惑的で煽情的なコントラストを描いているにも関わらず、男勝りな一気飲みをした。湿らせた唇をベロリと舐めながら、ノームの女性は口を開く。

「ガキは誰かの助けがなくても勝手にデカくなる。けどな、シゲさん。やっぱりそれでも大人は必要なんだよ。導く手がないと、ガキは迷子になっちまう。そして、たいていの場合そういうヤツは不幸になる」

「こりゃ手厳しい。それは体験談かね?」

「さてね」

残るBLTサンドの方も一口で食おうとしたら意外と大きく、勢いよくむせ込みながらテオドラは飄々と流した。

それは踏み込むなという言外のサインにも見えたが、老人から見るその横顔はどこか虚ろな哀愁さえ漂わせていた。ただ辛い記憶、という訳ではないのだろう。喜怒哀楽入り混じった、ある意味では一番人間臭い表情。

「――――儂にはできんな」

「ん?なんか言ったか?」

「いやいやはやはや」

若干強引な逸らし方だったが、食い下がってもこの大樹のような翁がこれ以上揺れることはないだろう。たとえこのような場で、常ならない愚痴を吐くような空気でもだ。

そうして束の間、話題の空隙ができ、二人して壁に背を預けるだけしていた時だった。



()()()()()()()()?」



黒揚羽のような凛麗とした声が聞こえた。

戦闘職らしい反射速度で首を巡らせる二人の視線の先には、背景の妖精達から切り取られたような少女が佇んでいた。

風もないのにワンピースの裾をふわりとなびかせる真っ白で真っ黒な少女は、こちらを淡々と見据える。

「あン?何だお前」

「あなたは、大切な人が許されないことをしてるのを分かって、それに付いていく?」

「無視かコラ」

「チンピラか、おぬしは」

躊躇なくガンを飛ばすテオドラの脛をはたきながら、老人は顔の陰影を若干濃くする。白い眉の奥に表情らしい表情を隠しながら、謎の少女に向かって口を開く。

「哲学的な問いかね?面白そうじゃな。……そうさな、近しい者が赦されざることをするのを識っていて、なおそれに付いて行く……か」

ふむ、と一拍を置いたシゲさんは、己の中で整理するかのようにアゴヒゲを触りながら言葉を紡ぎだす。

「この出涸らしに色恋沙汰を語られたくあるまい。じゃから、即物的な観点から行こうかの。まず、そんな輩に付いていくようなメリットが分からんの。そんな泥船からは逃げて木の板にでも掴まったほうが幾分建設的じゃろう」

「私は逃げられない。私には、止められないの」

「ふむ、なるほどのぅ。なかなか難儀なことじゃ。素直に諦めろというのも選択肢かもしれんが、それでは答えにはならんか」

唸る老人を置いて、少女はなお
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