暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#4
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ったく考慮しない現実論なぞ、別ベクトルの理想論じゃというのは一理あるのは間違いないがね?」

「つまりはロマンが足りないというこったガキンチョ」

大人二人が空笑いする中、謎の少女はしばし所在無さげにおろおろしていた。

その姿を眩しいものでも見るように目を細めたシゲさんはこう言った。

「何も、全てを丸のみにしろという訳ではない。これを聞き、お嬢ちゃんがどうするかという問題じゃ」

「そしてそのケツを拭くのは、テメェだってことも忘れんなよ」

右手を拳銃の形にし、少女に向かって撃つジェスチャーをしながらテオドラはそう話を締めくくった。

しかし思うところがあるのか、しばしその場に留まっていた少女だったが、やがてゆっくりと踵を返してパーティーの人波の向こう側に消えていった。

その様子を見送った後、「はぁー!」と溜め息にしてはいささか大きな掛け声とともに大きく伸びをしたテオドラは、

「あーきっつ!やっぱりあたしゃ説教するには向いてないわ!」

「ほっほっほ、悪くない話運びじゃったぞテオドラちゃん。ただもう少し聞かせる体勢にさせようとしていたらなお良いかの。及第点じゃ」

「こっちにも教育するなよなーもー。……っと、ヤバいヤバい。あたしこれから現実(リアル)の方でウチのガキどもと年越し蕎麦食べなきゃ。んじゃね、シゲさん」

「はいよ、またの」

ひらりと手を振ってテオドラも立ち去る。ここはノーム領ではないので、どこでも即時ログアウトはできないのだ。近場の宿屋を借りてそこでするしかない。

彼女の黒髪が見えなくなってから、老人は手を挙げ、首裏の襟を探る。少しすると、枯れ枝のような指の先に微かな手応えが返ってきた。

それを手繰り寄せて引っ掴み、拳の中にソレを隠したままで膝の上に持ってくる。端から見れば、首裏が痒くて掻いただけというように。

そして一拍の間を置き、ゆっくりと拳を開き、手の中にある小さな紙きれを老人は見る。

――――否。

それはもう、只の枯れた老人ではなかった。炯々とした眼光のもと、手元の紙きれを注視しながらも眼球は正面を向いているその顔は、知る人ぞ知る《六王》の一角、《千手(せんじゅ)》その人に他ならない。

―――最初に抱き着かれた時……くっくくかか、百点満点じゃよ、テオドラちゃん。

手元を一瞥した老人は、次いでソレをギュッと勢いよくすり潰した。それだけで元々耐久度が低かった紙きれアイテムは耐久度がゼロになり、ポリゴンの欠片となって破散した。しかしモノがモノだけに、炸裂音も雑踏のざわめきを破るほど大きくはない。

しばし黙考した老人は、やがて密やかに単語を一つ、呟いた。

「…………アルカイック・レポート、か」
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