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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百七話 自由惑星同盟は総力戦迎撃態勢に移行します。
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下が羨ましく思えた。あの時は「怖いもの知らず」気味であったが、それでも覇気にとんでいた彼女が、今や見る影もなく憔悴しきっている。本当ならば、あるいは、未来の一つとして、ラインハルトと手を組んで帝国を統一し、そして自由惑星同盟を征討して銀河を一つにできたかもしれないこの人が、何故・・・・?
(呪いなのか・・・・。)
思わずそう思ってしまったことをアルフレートは首を振って払い落とし、目の前の皇女殿下を助け起こそうと手を差し伸べた。


* * * * *
自由惑星同盟が総力戦迎撃態勢発令により、全土に臨戦態勢が構築されるのは、それから間もなくのこととなる。

シャロン賛美を唱える声が声高に叫ばれ、戦争の準備が着実に整っているさ中、ヤン・ウェンリーの姿をマーチ・ラビットの個室に見出すことができる。むろん彼は独りではなかった。
「自由惑星同盟がシャロン・イーリスの支配下に入ったことは、規定事実です。」
相手はキャゼルヌ、そしてシトレ元帥だった。ヤン・ウェンリーの元帥昇格に伴い、トップであるシトレは先任元帥として宇宙艦隊司令長官兼統合作戦本部長の地位についていた。もっとも宇宙艦隊司令長官の地位は今やイゼルローン方面総軍、フェザーン方面総軍の二つに分かれてしまった集団に実権を握られて、空虚と化していたが。
「このままでは自由惑星同盟は第二のルドルフ、いや、それ以上と化したシャロンの支配下に陥ってしまいます。」
「もはや次々と将官も彼女の配下に成り下がってしまった。自由惑星同盟において正気を保ちうる人間は数えるほどしか残っていない。それが、耐性というものなのか、はたまたそれすらも彼女の手に踊らされている物か、私は判断がつかないのだよ。」
シトレ元帥が嘆息する。
「元帥の御憂慮ももっともです。・・・・・白状しますが、私自身もシャロンに協力するように頼まれましたよ。」
「何!?」
二人がヤンを凝視する。
「では、ここでこうしていることそのものがまずいというわけか?」
ティーカップを取り上げながら、キャゼルヌ少将が尋ねる。
「いえ、それは違います。正確に言えば、シャロンは見抜いていますよ。私たちが心底から心服していないことは。ですが彼女にとってはそのような事はどうでもよい事なのです。彼女の関心事は私たちが結果を出すことにあるのですから。そこが付け目ではないでしょうか。」
『付け目?』
二人の問いかけにヤンは瞑目していたが、やがて決心したように口を開いた。
「自由惑星同盟を解放するために・・・・帝国と手を組むと申し上げれば、お二人はどう思いますか?」
カップが勢いよく受け皿に戻された。ヤンは二人の反応からその衝撃が小さくないことを容易に悟ることができた。
「お二人のお考えはもっともです。ですが、今の自由惑星同盟は民主主義国家ではない
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