暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1985話
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 ゴミ箱に倒れている荒垣は、明確なまでに顔に殴られた痕があった。
 それを誰がやったのかと言えば、当然あのモヒカンの男だろう。
 ……もっとも、美鶴の処刑により、あのモヒカンは色々と言うと哀れな状況になってしまったので、寧ろあのモヒカンには怒りよりも哀れみの方が強くなっているが。
 うん、処刑ってのは、別にペルソナを使えなくても十分に可能だというのが分かったのが、唯一の収穫か。
 一瞬そんな風に考えるも、とにかく俺と美鶴は意識を失ってゴミに塗れている荒垣を、ゴミ箱やゴミ袋の中から引っ張り出す。
 当然のように今は夏で、それも8月という夏も盛り――時季的にはそろそろ秋に近いが、それでも日中は十分に暑い――だ。当然のようにゴミ箱やゴミ袋の中から漂ってくる悪臭は、より強いものとなる。
 そんな悪臭の中から荒垣を引っ張り出すと、取りあえず地面に寝せる。
 固い地面に……と思わないでもないが、この夏にも関わらず厚着をしている荒垣の服装を思えば、地面が固いくらいではとくにどうということもないだろう。
 空間倉庫の中からミネラルウォーターのペットボトルと布を取り出し、それを濡らして荒垣の顔を拭いていく。

「服は……取りあえず、駄目だな。生ゴミが纏わり付いてるし、臭いもかなり染みついてる」
「うむ。しかし……何故、荒垣がこのような目に? いや、荒垣が普段からそのような場所に出入りしているのは知っていたが。こういうのも何だが、荒垣は強い。少なくても、先程のような者達にどうにかされるという事は、少し考えられないのだが」
「そうだな。それについては俺も同意する」

 完全に意識を失っている様子の荒垣を見ながら、美鶴の言葉に同意する。
 実際、荒垣は特に何か鍛えている訳じゃないが、素のままの状態でも強い。
 その上、俺達とタルタロスに挑んでシャドウと戦っていたのだから、それで弱い訳がなかった。
 そんな荒垣が、あの程度のモヒカン男に負けるとは、到底思えない。
 それこそ人質とか何かを使ったのではないか。そう思える程に、不自然な戦いなのだ。
 もっとも、あのモヒカン男から話を聞いた限りでは、特にそんな卑怯な真似をしたという様子はなかったが。
 ……実は嘘を吐いているという可能性もあるが、美鶴の処刑を受けた後での尋問で、そんな嘘を吐けるのなら、それはそれで普通に凄い相手だと思う。
 ともあれ、そんな訳で、荒垣があのモヒカンの男と戦ったのは間違いのない事実なのだ。
 だが、それで荒垣が負けるというのはやっぱり理解出来ない。

「そうなると、荒垣が本気で戦ってなかった……ってのが考えられるか? それこそ、自分の身体を痛めつけたいと思ったとか」

 M……という訳ではなく、荒垣の性格を考えれば、自罰的な意味でそんな行動をしたと考えられなく
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ