暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
春の訪れは揚げ油の香りと共に?・その2
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ど、どうだろうか?」

 二度揚げをしてカラリと揚がった唐揚げを、俺に見せてくる那智。生焼けを嫌ったのか、少し揚げ過ぎで予定よりも若干焦げている。

「若干焦げてるが……まぁ、この位はご愛敬だろ」

 彼女の手料理なんて、男からしたら大概嬉しいモンだしな。多少不味くても頑張って食うだろ。1つ摘まんでヒョイと口に放り込む。予定通り、卵白のお陰でパリッとした衣の食感が心地良い。その中から染み出す鶏の肉汁と醤油の味わい、それにニンニクと生姜の風味が合わさってハーモニーを醸し出す。揚げ過ぎで少し焦げ臭さが鼻に付くが、それ以外は申し分なく美味い唐揚げになっていると思う。

「うん、まぁまぁだな。後は揚げ具合に気を付けてやればいいだろう。そんじゃあ味付けのバリエーションを教えてくか」

「よ、よろしく頼むぞ!」

 まずは定番のバリエーション、塩唐揚げを伝授するとしよう。



《提督秘伝のジューシー塩唐揚げ!》※分量2人前

・鶏モモ肉:300g

・塩:小さじ1/2

・砂糖:小さじ1/2

・酒:大さじ1/2

・胡椒:少々

・すり下ろし生姜:小さじ1/2

・すり下ろしニンニク:適量

・卵白:Lサイズ1個分

・片栗粉:大さじ1.5

・薄力粉:大さじ1.5





「手順はほぼ一緒だ。モモ肉から筋と余分な脂を取り除いてカットし、下味を付けて20分寝かせる。卵白を揉み込んだら粉をまぶす」

「ふむ、手順は変わらないが……味付けが変わるのか。しかし塩唐揚げだから塩が入るのは解るが、砂糖は何故入れるのだ??」

「あぁ、それなぁ。水でも良いんだが、酒と塩と砂糖を一定の割合で混ぜてやると、肉に水分が染み込み易くなって、肉がジューシーになるんだ」

 大分科学的な話になるが、砂糖には肉のタンパク質と水分を結び付ける働きがある。そして塩には肉の表面をコーティングして保水を助ける働きがある。この2つを上手く組み合わせると、パサつく鶏むね肉もパサつきにくく、鶏モモ肉は更にジューシーに仕上げられる。水100ccに対して砂糖と塩を5gずつ加えて溶かした物を『ブライン液』と言い、こいつに15分程漬けておくだけで肉の味が段違いに変わる。是非とも試してみてくれ。

※ただし、5%以上の塩分濃度にすると浸透圧の関係で逆に水分や旨味が抜けてしまうので注意!

「成る程……理屈は解らんが、何となく理解した」

「細かく計量したりするから、料理に科学は付き物なんだがな?」

 料理は愛情!と語った料理研究家もいるが、愛情を込めるのは当然の事。そこから美味さを追求するならそれなりのやり方や法則がある、というのが俺の主張だ。

「さて、衣を付けたら揚げてくぞ」

 味付け
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ