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Raison d'etre
二章 ペンフィールドのホムンクルス
7話 宮城愛(3)
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 明日香の言わんとしている事が見えず、優は小さく首を傾げた。
「つまり、ここの男女比は外とは全く違うという事。思春期の男女にとって、それはつまり恋愛対象が限定されるということでもあるの。それは分かるでしょう」
 明日香は真剣な顔で言葉を続ける。
「特にここは閉じた世界だわ。そして貴方たちはESP能力者で、そこに強い帰属意識を覚えている。優くん、あなたの行動に関係なく、周りの女の子たちは少し普通とは違った行動を取るかもしれない。なにか困ったことがあったら、すぐに相談しなさい。いいわね?」
 優は困惑したように明日香を見上げた。
 彼女は真面目な顔で、じっと優の答えを待っている。
 明日香が一体何を危惧しているのか、優には良くわからなかった。
 麗の顔が、一瞬頭をよぎった。
 突然、何の前触れもなく告白してきた少女。
 しかし、相談するような事案でもないように思えた
「はい。何かあったら相談します」
「来てくれたのが貴方のような男の子でよかった」
 明日香はそう言って微笑んで席を立った。話はこれで終わりということだろう。
 優もそれに続いて立ち上がり、短く一礼した。
 医務室を出て、先に出た愛の後を追おうとする。
 その時、ポケットで携帯が小さく振動した。端末を取り出して確認する。
 望月麗からのメッセージだった。
 予想していなかった文字が目に飛び込んできて、優は固まった。
『明日デートしてください』
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