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Raison d'etre
一章 救世主
15話 広瀬理沙(5)
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空を貫く。一斉に飛んでくる光線群を大きく避けながら攻撃の機会を窺うも、イーグルの攻撃が止む気配はない。
 マズい、と思った時には既にイーグルが動いていた。くちばしのような口が開き、光弾が大空に飛び出す。
 その数七。光線による攻撃も続いたままで、回避範囲が制限される。
 避けられない。すぐに詩織はそう判断した。撃ち落とそうと、前方に小銃を構える。
 全てを撃ち落とすことなんてできるわけがない、と思った。しかし、それでもやらなければならない。
 引き金を絞る。
 反動で揺れる視界には、依然と光弾が映ったままだ。
 もう一度、人差し指に力を入れる。すぐ目の前まで迫っていた光弾が弾け飛ぶ。当たった。しかし、次の攻撃がすぐ近くまで迫っていた。
 小銃にESPエネルギーを装填し、すぐに次の光弾を狙う。発砲音が響くが、変化はない。
 間に合わない。小銃へのエネルギー供給を放棄し、全ての力を防御に回す。
 詩織は衝撃に備え、目を瞑った。直後、轟音と衝撃が詩織を包み込んだ。

◇◆◇

「逃げられない……」
 少女達が回避を諦め、迎撃体勢をとるのを見て、奈々はぽつりと呟いた。
「司令、背後から高速で接近中のESPエネルギーを探知しました」
 加奈の報告に、奈々が素早くマップを見る。加奈の報告通り、一つの反応が背後から迫っていた。
 奈々は小さく呻いた。
 恐らくイーグルが放った光弾だろう。確実に殲滅する為に、あらかじめ追尾弾を後ろから回すようにセットしていたのか。
 モニターを見る。少女達が懸命に戦っている姿を見ると、底知れない無力感を感じた。
 安全な場所から、ただ見守ることしかできない。
 少女達が光に埋もれていく。地響きのような音がスピーカーから漏れた。
「司令……」
 蒼白な顔で加奈が呟いた。奈々は答えずに、閃光が溢れるモニタを見つめた。
 何も考えられなかった。何か、イーグルへの対策を考えなければならない。しかし、奈々は動けなかった。
 画面の向こうに広がる惨劇が容易に想像できた。
 光が薄れ、映像が明瞭になっていく。
 心臓が、大きく鼓動した。
 奈々はモニタを眺めたまま、その目を見開いた。

◇◆◇

 天使だ、と詩織は思った。
 目の前の、小さな背中からは巨大な翡翠の翼が飛び出し、詩織達を守るように大きく広がっている。イーグルの放った攻撃は無力化され、静寂が辺りを包んでいた。
『……桜井君?』
 通信機から華の声。
 それで目の前で翼を広げる小柄な影が、桜井優であることに初めて気づいた。
 優が振り向き、屈託なく笑う。
「ごめんね、遅くなって」
 詩織は安堵感で胸がいっぱいになっていくのを感じた。途端、疲労が限界に達
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